第24章 新たな波
成功から約1ヶ月が経ったある朝。
部長が私を会議室に呼んだ。
「山田、いいニュースだ。
A社のプロジェクトが大好評で、追加の大型キャンペーンを任せたいと言ってきた。
規模は前回の1.5倍だ。お前をメインに据えたい」
喜ぶべき知らせだったが、同時に重圧も感じた。
「ありがとうございます。頑張ります」
しかし、部長は少し表情を曇らせた。
「ただ……新任役員がかなり手厳しい。
今回は『革新的なアイデア』を強く求めている。失敗は許されないと思え」
オフィスに戻ると、美咲が心配そうに近づいてきた。
「山田さん、大丈夫ですか? 顔が少し疲れてますよ」
「新しいプロジェクトが入った。規模が大きいみたいだ」
美咲は力強く頷いた。
「私も全力でサポートします!」
午後、遥香からメッセージが届いた。
【遥香】
悠真、最近忙しそうだね。
体、壊さないようにね。
もしよかったら、息抜きに食事でもどうかな?
二人の女性からの優しさが、逆に心を乱す。
その夜、私は一人でジムに行った。
汗を流しながら、鏡に映る自分を見つめる。
「山田悠真」として成果を上げ、信頼を得ている。
でも、心の底ではまだ「佐藤愛子」が完全に溶け込めていない。
家に帰り、ノートに書き連ねる。
- 美咲の純粋さ
- 遥香の深さ
- 仕事への責任
- 失った家族への想い
全部を背負いきれず、筆が止まる。
「俺はまだ、半分しかこの人生を受け入れていないのかもしれない」
ベッドに横になりながら、静かに決めた。
この新しいプロジェクトを成功させながら、
自分の気持ちにもちゃんと向き合おう。
「この体、男子ですけど何か?
今日は、新たな大きな仕事が来て、プレッシャーとやる気が混ざっています……」
波は、まだまだ続いていく。




