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「神獣と妖怪とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第29巻)  作者: サナダムシオ


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㉑ 考察

 雷獣が消え去った後も、三人はその場で、今見たモノの正体について、それぞれの見解を出し合った。見た印象としては、悪魔というよりは、神の遣いに近い感じがした。でもそれは外見上のイメージに過ぎない。色々話し合ってみても、結論は出なかった。そして最終的には、由理子がテレパシーで話し掛けてみるしかない。という結論になった。


 するとまた近くに、ドーンという音ととともに空が光り、川岸の柳に稲妻が落ちて火を付けた。柳の上には、先ほどの雷獣が再び姿を現していた。

 三人は急いでそこへ走り寄る。


 そしてすかさず由理子が、テレパシーを雷獣に送ってみたのだった。

『アナタは何がしたいの?ニンゲンに何か伝えたい事が有るの?』

 すると、雷獣から返ってきた答えはこうだった。


『空に気をつけろ。空から目を離すな。もうすぐヤツラが帰って来る。よいか。これはオマエに対する予言……つまりメッセージだ。しかと伝えたぞ。他の者には、他のメッセージを伝えるつもりだ。では、さらば。』


 またもや、辺り一面が光り、続いてドドン!という轟音が……そして雷獣は再び居なくなった。

「どうだった?何か話は出来た?」

 鷹志が、おずおずと尋ねる。


「それが……変なのよ。」

 由理子は鷹志と雪子に、今しがた雷獣との間で交わされた、心の中の会話の内容を伝えた。


「じゃあ、この江戸時代の日本にも、雷獣のテレパシーを受け取れるニンゲンが、居るって事になるわね?」

 話を聞いていた雪子がそう言った。


「正式な記録には残っていませんが、多分、神社の巫女や宮司などの神職なら、啓示として受け取れるのでは?……それに一般の人々の中に、無自覚にそんなチカラを持っている人が居ても、不思議ではありませんからね。」と鷹志も自分の見解を述べた。


「どうやらアレを、天空から遣わされた伝令として、解釈するしかないようね?」

 雪子が結論めいた事を言った。

(そこは敢えて"神から"ではなく、"天空から"と言うんだな。)

 鷹志は思ったが、黙っていた。


「……アレは、まるで私たちが何者か、分かっているようでした。」

 最後に由理子がそう言ったところで、この調査はお開きにする事となった。


 三人でビートルに戻ると、雪子が帰還シークエンスのスイッチを入れた。

 後部座席で、由理子の隣に座った鷹志が、ポツリと呟く。


「アレにとって、時間の概念は無意味なようでしたね?まるで、四次元か五次元の住人のような振る舞いでした。ひょっとして、我々より高次の存在からの、使者だったのかな?」


 それに対して、答を持つ者は、車内には誰も居なかった。しかし、皆黙り込んで、同じような事を考えていた事は、確かだった。

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