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「神獣と妖怪とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第29巻)  作者: サナダムシオ


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⑬ 新しい住処

 次にグリフォンと赤いビートルが出現した場所は、とある施設の中庭だった。

 それとほぼ同時に、警報音が辺りに鳴り響く。

 バラバラと警備員たちが走って来た。

 皆、血相を変えた様子で、手に手に電磁網発射装置を持っている。


 慌てて由理子が降りて、皆に顔を見せる。

「みんな!あたし、あたしよ!」

 続いて弓子と雪村もクルマを降りた。


 それを見た警備兵たちが漸く警戒を解いて、警報音も止められた。

 ちょうどそこに、居候のカグヤ・イシュタルと成雪が出て来た。

 そう、ここは、昭和の時間軸の真田研究所だったのだ。


 グリフォンが不安そうに周りを見渡して、低く唸り声を上げた。

 由理子がそこに歩み寄り、黙ってその眼を見つめる。テレパシーで語り合っているのだろう。

 しばらくたった後、弓子が彼女に尋ねる。

「どう、説得出来た?」

「ええ、何とかここを新しい住処として、認識してもらったわ。」


 カグヤがそこに話し掛けて来た。

「由理子さん、コレは一体どういう……?」

「ああ、カグヤさん、ごめんなさい。突然押しかけたりして。」

 代わりに雪村が説明に入る。

「実は紀元前のイラン高原で、このグリフォンを保護してね。暫くの間、この研究所の中庭で面倒を見て欲しいんだ。ここなら、外からも滅多に見つからないだろう?番犬代わりにも、ちょうどイイしね。」


「あの、私たちは構わないんですけど、肝心の所長の雪子さんは、何ておっしゃってるのでしょうか?」

「ああ、うん、コレ思いつきだったから、事後承諾になるかな。」

 由理子が舌を出しながらそう言った。

「ええっ!?」

 カグヤと成雪が声を揃えてそう言った。

 あらあら仲がイイのね。それを見た弓子はそう思った。


「ところで、その雪子さんは?」

 雪村がその仲良しカップルに尋ねる。

「またどこかに、調査に出かけちゃってます。私たちは留守番を頼まれたのです。」

 カグヤが答えた。


「もうお姉ちゃんたら、あれほど単独行動は自重してねって、言ってあるのに……。」

 ふくれっ面の由理子がそう言った。


「多分、大丈夫なんじゃない?雪子さん、こういうペット好きそうだし。」

 弓子も本人が居ないのをイイことに、好きな事を言っている。


「そういう訳だから、暫くはココで大人しく暮らすように。分かったね?」

 雪村が優しくグリフォンに話し掛ける。

 それに対して、「クワッ」と小さく返事をする幻獣だった。何だかすっかり、可愛くなっている。


 三人はそれを見届けると、赤いビートルに戻った。

「ああ、そうそう、グリフォン。」雪村が最後につけ加えて言う。


「夜になったら見つからないように、森林公園の近辺を飛び回ってもイイけど、ニンゲンを襲ったりしたらダメだよ。全てのニンゲンは、僕の兄弟みたいなモノだからね?」


 そして赤いビートルは、名護屋テレビ塔に向かって、再び出発したのだった。

 

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