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「神獣と妖怪とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第29巻)  作者: サナダムシオ


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⑪ 対決

 山道を少し歩くと、カーブした先に小高い丘が見えて来た。そしてそこに鎮座する存在が、イヤでも目に飛び込んで来たのだ。


 ソレは有り得ない姿の生き物だった。

 カラダの前半……つまりニンゲンなら、上半身にあたる部分がオオワシ。そして、カラダの後ろ半分がライオンのパーツという、異様な幻獣だった。


 ただキメラというだけでもオカシイのだが、鳥類と哺乳類を、シームレスに繋ぎ合わせるというところに、羨望と嫉妬がない混ぜになったような、悪趣味極まりない、作り手の歪んだ心を感じる。


 しかもモンダイなのはその足元だった。貨幣の形のモノや粒のモノ、果ては、ありとあらゆる貴金属の形をしたモノまで。たくさんの金……つまりゴールドが、山積みになっていたのである。


 前述のように、この道は交易の要所になっている。多分つい先程まで、次から次へと、道行く者たちから、金を奪って来たのだろう。そして恐らく、コイツを派遣したのは爬虫類族。しかも、こんなに悪どい手段を好むのは……。


「……アラハバキね?」

 雪村が考えていた事を、由理子が口にした。

 あらあら、すっかり兄妹で、以心伝心ね?

 少しだけテレパスの素養が有る、弓子はそう思ったのだった。


「さて、どうする?お望みとあらば、一瞬で捻り潰せるけど……。」

 雪村が妹に尋ねる。

「もちろん、生け捕り希望です。この子に罪は無いわ。だって、金色のモノを好む修正を、奴らに利用されているだけなんだもの……。」

 由理子は答えた。

「そうね。ほんとに無垢な魂の持ち主のようだわ。」

 弓子も、そんな感想を述べた。


「よし、二人がそう言うなら、決まりだな。」

 雪村は決断した。

 彼は躊躇なく、つかつかとグリフォンに向かって歩み寄って行く。

 幻獣は唸り声を上げて、彼を出迎える。


 そして雪村がリーチ内に入ると、ヤツは大きな翼で羽ばたきながら、鋭い鷹の爪のついた前足を振り回して、攻撃して来た。そこらの隊商なら、荷物を放り出して、一目散に逃げてしまうところだろう。だが雪村の居る半径2m以内の範囲には、爪は届かない。何故なら彼が、鉄壁のバリヤを張っているからだ。


 グリフォンの顔に、困惑の色が浮かぶ。

 そんな幻獣をしり目に、涼しい顔をした雪村は、ヤツのライオンの形をした下半身の方に回り込んだ。

「やっぱり……思った通りだな。」

 彼は呟いた。何故ならグリフォンの右の後ろ脚が、オリハルコン製の丈夫な鎖で、とんでもなく大きな鉛の塊に繋がれていたからだ。



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