↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崔浩先生の「元ネタとしての『詩経』」講座  作者: ヘツポツ斎
国風 鄭風

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
83/326

將仲子(うわさを恐れる/臣下の諫言を嫌う)

將仲子《しょうちゅうし》 引用15件

女→男 あいびき 人の目 噂 鄭荘公批判



將仲子兮《しょうちゅうしけい》 無踰我里《むゆがり》 無折我樹杞《むきがじゅき》

豈敢愛之《がいかんあいし》 畏我父母《いがふぼ》

仲可懷也《ちゅうかかいや》 父母之言《ふぼしげん》 亦可畏也《えきかいや》

 仲さま、どうか、おねがいです。

 私の庭に押しかけてくださるな。

 柳の木を折らないでくださいな。

 柳が惜しいのではないのです、

 父上母上が恐ろしいのです。

 あなた様を思うておらぬわけではなく、

 ただ、父母よりのお叱りが。

 

將仲子兮《しょうちゅうしけい》 無踰我墻《むゆがしょう》 無折我樹桑《むぜつがじゅそう》

豈敢愛之《がいかんあいし》 畏我諸兄《いがしょけい》

仲可懷也《ちゅうかかいや》 諸兄之言《しょけいしげん》 亦可畏也《えきかいや》

 仲さま、どうか、おねがいです。

 私の庭に押しかけてくださるな。

 桑の木を折らないでくださいな。

 桑が惜しいのではないのです、

 兄たちが恐ろしいのです。

 あなた様を思うておらぬわけではなく、

 ただ、兄たちよりのお叱りが。


將仲子兮《しょうちゅうしけい》 無踰我園《むゆがえん》 無折我樹檀《むせつがじゅだん》

豈敢愛之《がいかんあいし》 畏人之多言《いじんしたげん》

仲可懷也《ちゅうかかいや》 人之多言《じんしたげん》 亦可畏也《えきかいや》

 仲さま、どうか、おねがいです。

 私の庭に押しかけてくださるな。

 マユミの木を折らないでくださいな。

 マユミが惜しいのではないのです、

 付近の噂が恐ろしいのです。

 あなた様を思うておらぬわけではなく、

 ただ、あたりに流れる噂こそが。



○国風 鄭風 將仲子

男の子が女の子と会いたすぎて家に侵入しそうになるのを懸命に止めている歌に見えるな。女の子も大変である。



○儒家センセー のたまわく

「刺莊公也。不勝其母,以害其弟。弟叔失道而公弗製,祭仲諫而公弗聽,小不忍以致大亂焉。」

この詩は鄭の荘公への批判である! 武公の息子、荘公ははじめ、弟の権勢が伸長していくのをなすがままとしておった! これを祭仲という人物が諫めたのだが、即時却下しておる! すなわち荘公が「俺の領分に入ってくるな」と返答したことを風刺したものである! のちに荘公は弟を討伐し、外国に追い払ったのであるが、国に乱を起こした、という点ではやはり批判されるべきであろう!



■外交で詠われる將仲子

左伝 襄公26

晉侯言衞侯之罪。使叔向告二君。國子賦轡之柔矣。子展賦將仲子兮。晉侯乃許歸衞侯。


この当時、衛の国が晋に歯向かっていた。晋が怒りのあまり衛を討伐せんと考えていたところに、鄭の大夫である子展が当詩を歌った。意味合いは「人之多言,亦可畏也」、即ちここで迂闊に罰したらあんた軽んじられるけどいいんですか、である。それを聞き、晋侯も衛侯を咎めなかったそうである。



■後継者争いを放置する王におこ

晋書118 姚興下

尹昭言於興曰:「廣平公與皇太子不平,握強兵于外,陛下一旦不諱,恐社稷必危。小不忍以致大亂者,陛下之謂也。」


後秦王姚興は長男の姚泓を皇太子に据えていたが、才気あふれる次男の姚弼の好き勝手を放置していた。そのため後継者争いは激化。やがてちょくちょく姚弼がトラブルを起こしても、姚興はお咎めなし。それにキレた臣下の尹昭が、当詩詩序にある言葉を引いて言うのである。「万が一陛下に何かあれば、たちまち国が割れますぞ! 小しきを忍ばずして、大亂に導くとは、まさに陛下の行いです!」と。かなりストレートな言葉ではあったのだが、姚興が尹昭を罰することはなかった。とは言え姚弼をどうにかすることもなかったのだが。このトラブルを放置したことにより姚泓は王位継承後も大した権威を持てず、最終的には劉裕によって滅ぼされてしまうのである。



■ちょっとは我慢しーや

詩序引用はあまり真剣に調べておらぬのだが、この「小不忍」はなかなかに便利な言葉として用いられておったようである。まあ確かに「些細なこと我慢しなきゃもろもろだめでしょ」は様々な諫めの言葉に応用できそうである。


・史記58 劉武

袁盎等以宋宣公不立正,生禍,禍亂後五世不絕,小不忍害大義狀報太后。

・漢書72 鮑宣

陛下前以小不忍退武等,海內失望。

・漢書75 李尋

勉強大誼,絕小不忍;

・漢書 97.2 孝成趙皇后

夫小不忍亂大謀,恩之所不能已者義之所割也

・晋書75 范汪

雖時有赦過宥罪,議獄緩死,未有行小不忍而輕易典刑者也。

・宋書71 王僧綽

願以義割恩,略小不忍,不爾便應坦懷如初,無煩疑論。

・魏書97 劉義隆

惟願以義割恩,略小不忍。不爾,便應坦懷如初,無煩疑論,不可使難生慮表,取笑千載。



■世論をちゃんと見極めーや

詩中では「あなたを思っているのですが」であるが、こと儒家の手にかかると、これが「いやいや外交的配慮もちゃんとお抱きになりなさいよ」になるようである。ずいぶんとごっつい女の子であるな。


・左伝 閔公1

戎狄豺狼。不可厭也。諸夏親暱。不可弃也。宴安酖毒。不可懷也。

・三國志58 陸遜

喜鄰威德,樂自傾盡,雖未合策,猶可懷也。



■非礼也

左伝 桓公3

謹慎從爾父母之言。送女踰竟。非禮也。


左伝で有名な言葉と言えば「非礼也」である。礼に則らないことはやっちゃだめだ、ぞっ☆ と語られる言葉であるが、ここではパパママのお言葉に従わないのはよくないよね、と語られておる。ちなみにどのようなエピソードに対する評価か。「魯の公子翬が斉侯の娘(桓公の夫人となる文姜)を迎えに行った際、国境を越えてまで送り届けたこと」が非礼なのだそうである。お、おう。



■壁に耳ありの世界

明らかに「なにかをやればすぐに人々はぺらぺら語る」ことが批判されておる。全く、いつの世も人間はおしゃべりなものであるな。


・宋書62 王微

正令選官設作此舉,於吾亦無劍戟之傷,所以懃懃畏人之多言也。

・魏書4 拓跋晃

人之多言,亦可惡也。故有此敕,以釋汝疑。



■世説新語 惑溺5とそっくり☆

韓壽美姿容,賈充辟以為掾。充每聚會,賈女於青璅中看,見壽,說之。恆懷存想,發於吟詠。後婢往壽家,具述如此,并言女光麗。壽聞之心動,遂請婢潛修音問。及期往宿。壽蹻捷絕人,踰牆而入,家中莫知。自是充覺女盛自拂拭,說暢有異於常。後會諸吏,聞壽有奇香之氣,是外國所貢,一著人,則歷月不歇。充計武帝唯賜己及陳騫,餘家無此香,疑壽與女通,而垣牆重密,門閤急峻,何由得爾?乃託言有盜,令人修牆。使反曰:「其餘無異,唯東北角如有人跡。而牆高,非人所踰。」充乃取女左右婢考問,即以狀對。充秘之,以女妻壽。


晋の名臣、賈充よりの覚えめでたい若者、韓寿がカジューサマの娘と結婚前にオセッセセしちゃったよ、ワォ! という内容である。どうやって侵入したのかわからぬが、韓寿レベルの身体能力であれば越えられそうな生け垣が少し荒れておったそうある。そしてカジューサマは「もろもろなかったことにして」韓寿と娘を結婚させた。なかったことにした割に世説新語にモロである。引用でこそないが、なるほど、人之多言亦可畏也であるな……。



毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%9B%9B#%E3%80%8A%E5%B0%87%E4%BB%B2%E5%AD%90%E3%80%8B

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。