↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崔浩先生の「元ネタとしての『詩経』」講座  作者: ヘツポツ斎
国風 王風

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
79/326

大車(貞淑なる女性/淫奔を批判)

大車《だいしゃ》 引用6件

妻→夫 婚礼 連れ添う誓い 周大夫批判 礼の紊乱 取り締まり



大車檻檻《だいしゃかんかん》 毳衣如菼《ぜいいじょたん》 

豈不爾思《がいふじし》 畏子不敢《いしふかん》

 大夫の車はカタコトと、

 そのお召し物は若葉のよう。

 あなたを思わぬではないのだが、

 あの方が怖くて、

 あえてはできませぬ。


大車啍啍《だいしゃとんとん》 毳衣如璊《ぜいいじょもん》 

豈不爾思《がいふじし》 畏子不奔《いしふほん》 

 大夫の車はコトコトと、

 そのお召し物の赤さが目に鮮やか。

 あなたを思わぬではないのだが、

 あの方が怖くて、

 あえてはできませぬ。


穀則異室《こくそくいしつ》 死則同穴《しそくどうけつ》 

謂予不信《せいよふしん》 有如皦日《ゆうじょげきじつ》 

 生まれは部屋を異とするも、

 死ぬときには同じ穴の中。

 私を信じ切れませぬか?

 では、朝日にかけて誓いましょう。



○国風 王風 大車

婚礼にあたっては取り決められた一定の手続きが必要である。愛しきあなたと一緒になりたいのだが、その取り決めを守れぬようでは、あの大夫様のように立派な存在にはなれるまい。ゆえに、今は我慢してほしい。生まれも育ちも違う我々であっても、死ぬときには同じ墓穴に葬られることになるのだから。私を信じ、待ってほしい。ずいぶんと身持ち硬き女性であるな。



○儒家センセー のたまわく

「刺周大夫也。禮義陵遲,男女淫奔,故陳古以刺今大夫不能聽男女之訟焉。」

この詩では貞淑な女性の凛とした姿を描き出し、当時はびこっておった淫奔の気風を批判しておるのである! ここで冒頭に描かれている大夫とは刑務の執政官であり、貞淑にあらざるものを捕らえ、罰に処すのである!



■下手に詩経に載ったから……

毳衣とは明らかに「それなりに仕立ての整った服」くらいの意味合いなのだが、詩経に乗ってしまったせいで皇帝の儀礼服にまで指定されてしまったようである。一方、魏書ではまんま「大車」と指定されておるとおり、こちらは大夫、言い換えれば官僚としてのありようを表す語として用いられておる。皇帝儀礼なぞ多くの者が知る者でもなかろうし、この当時の用いられ方として一般的なのは、きっと後者だったのであろうな。


・後漢書120 輿服下  注

毳衣之冕,七旒,用玉百六十八。絺衣之冕,五旒,用玉百二十。玄衣之冕,三旒,用玉七十二。

・魏書36 李騫

去衡門以策駟,望象魏而投轍。服毳衣以從務,乘大車而就列。



■生きてるときは別室で

大車と言えばこの句、ぐらいの引用がされているのかと思いきや、存外少なかった。とは言え夫に先立たれた妻が死の間際にこの句を呟くのは多かったのではないか、とも思えてならぬ。無論史書に残されぬ以上、ただの憶測に過ぎぬのだが。


・漢書11 哀帝

朕聞夫婦一體。詩云:『穀則異室,死則同穴。』

・漢書97.2 定陶丁姫

建平二年,丁太后崩。上曰:「詩云『穀則異室,死則同穴』。



■諸葛亮、劉備の皇后を思う。

三國志34 蜀志先主甘皇后伝

案諡法,宜曰昭烈皇后。『詩』曰:『谷則異室,死則同穴。』


劉備皇后の甘氏が死亡した時の諡は思夫人であったが、諸葛亮は頼恭らと協議したうえで、劉禅に生母へ「昭烈皇后」、即ち「昭烈帝の皇后ですよ」と明確にさせようとした。「生きている時はさておき、死後は同じ場所にあるべき」と唱えるのには、劉禅の皇帝としての権威をより高めんとする意図が見え隠れする。



■わたしは夫と共に死にます

世説新語 賢媛29

郗嘉賓喪,婦兄弟欲迎妹還,終不肯歸。曰:「生縱不得與郗郎同室,死寧不同穴!」


郗超が死んだ時、その妻である周馬頭を、家族の者が引き取ろうとした。その時の周馬頭の断りの言葉がこのセリフである。「ここから先、あのお方と一緒にはおれないのだけれど、死んだ後に同じ穴に入れないのは嫌なのです」とのことであるが、……このころ周家は落ち目で、郗家は今をときめく名家であったことを思うと、なかなかにニヤニヤしてしまうな。



毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%9B%9B#%E3%80%8A%E5%A4%A7%E8%BB%8A%E3%80%8B

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。