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崔浩先生の「元ネタとしての『詩経』」講座  作者: ヘツポツ斎
国風 王風

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葛藟(嫁入り後の孤独/家族離散の悲哀)

葛藟《かつるい》 引用3件

嫁入り 憂悶 離愁 家族への思慕 讒言警戒 平王批判



緜緜葛藟《めんめんかつるい》 在河之滸《ざいかしこ》 

終遠兄弟《しゅうえんけいてい》 謂他人父《せいたじんふ》 

謂他人父《せいたじんふ》 亦莫我顧《えきばくがこ》 

 絡まり伸びる、ツタカズラ。

 黄河のほとりに茂るのに。

 私の兄弟ははるかに遠く、

 赤の他人を父と呼ぶ。

 彼を父と呼んでみても、

 顧みてくれるはずもないのに。


緜緜葛藟《めんめんかつるい》 在河之涘《ざいかしし》 

終遠兄弟《しゅうえんけいてい》 謂他人母《せいたじんぼ》 

謂他人母《せいたじんぼ》 亦莫我有《えきばくがゆう》 

 絡まり伸びる、ツタカズラ。

 黄河の岸辺に茂るのに。

 私の兄弟ははるかに遠く、

 赤の他人を母と呼ぶ。

 彼女を母と呼んでみても、

 私を気にかけてはくれまいに。


緜緜葛藟《めんめんかつるい》 在河之漘《ざいかししん》 

終遠兄弟《しゅうえんけいてい》 謂他人昆《せいたじんこん》 

謂他人昆《せいたじんこん》 亦莫我聞《えきばくがぶん》 

 絡まり伸びる、ツタカズラ。

 黄河のみぎわに茂るのに。

 私の兄弟ははるかに遠く、

 赤の他人を兄と呼ぶ。

 彼を兄と呼んでみても、

 私の思いを聞いてはくれまいに。



○国風 王風 葛藟

黄河のほとりでは今日もツタカズラたちが睦まじく絡み合っている。それに対し、嫁入り先の姑家は、当たり前だが家族そのものではない。ゆえに父や母、兄より与えられた愛と同質のものは決してそこで与えられはしない。そういった嫁入り後の孤独がひどく身につまされる詩であるな。



○儒家センセー のたまわく

「王族刺平王也。周室道衰,棄其九族焉。」

周の平王による東遷が招いた衰乱は、家族をも引き裂いた! そしてそれぞれの人間は、赤の他人を家族であるがごとく見なし、お互いに扶助せねばならなかった! そこに家族としての愛はない! ただ必要に迫られた利害関係があるのみである! 斯様なる残酷極まりなき状況を生み出した平王の統治は批判されてしかるべき! しかるべきなのである!



○崔浩先生、にっこり

まぁ朱子も儒家センセーと同じ解釈を取っているのだがな。ただ彼は特に時期を限定する意味はない、と言っておる。それならばそういうものと解釈するべきなのやもしれぬが、まぁ現代人があえてその辺に付き合う必要もあるまい。この詩から伝わる孤独感をどう受容できるか、が重要となろう。



■葛藟には様々なイメージ

この語句は他詩中にも見えていたりもしており、「一定のイメージ」という形では用いておられぬようである。ここでも左伝は繁茂するイメージ、楊王孫伝ではどこにでもある素朴な蔦草というイメージ、司馬遷の敍傳では「溺れる者はわらをも掴む」的なイメージで用いられたりなどされておる。


・左伝 文公7

則本根無所庇陰矣。葛藟猶能庇其本根。故君子以為比。況國君乎。

・漢書67 楊王孫

昔帝堯之葬也,窾木為匵,葛藟為緘,其穿下不亂泉,上不泄殠。

・漢書100.1 敍傳上

㩜葛藟而授余兮,眷峻谷曰勿隧。



毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%9B%9B#%E3%80%8A%E9%87%87%E8%91%9B%E3%80%8B

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