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崔浩先生の「元ネタとしての『詩経』」講座  作者: ヘツポツ斎
国風 王風

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君子于役(出征した夫を憂う)

君子于役《くんしうえき》 引用1件

夫婦 帰りを待つ 妻→夫 さみしさ 周平王 軍役批判



君子于役《くんしうえき》 不知其期《ふちきき》 曷至哉《かつしや》 

雞棲于塒《けいせいうーし》 日之夕矣《にちしゆういー》 羊牛下來《ようぎゅうからい》 

君子于役《くんしうえき》 如之何勿思《じょしかこつし》 

 あのお方は戦に駆り出され、

 いつ帰れるかもわからぬ。

 いつお帰りになるのだろうか。

 鶏が小屋ですやすやと眠る。

 日も暮れて、羊や牛も、

 あの丘から戻ってくる。

 あのお方はいまだお役目のさなか。

 どうして思わずにおれようか。


君子于役《くんしうえき》 不日不月《ふじつふげつ》 曷其有佸《かつきゆうかつ》 

雞棲于桀《けいせいうけつ》 日之夕矣《じつしゆういー》 羊牛下括《ようぎゅうかかつ》 

君子于役《くんしうえき》 苟無飢渴《こうむきかつ》 

 あのお方は戦に駆り出され、

 帰還の日にちもわからない。

 またお会いすることは叶うのか。

 鶏がやすらかに小屋で眠る。

 日も暮れて、羊や牛も、

 あの丘から降りてくる。

 あのお方はいまだお役目のさなか。

 どうかひもじい思いをなさいますな。



○国風 王風 君子于役

夫が出征、公役に出る恐怖は、現代とは全く質が違うのであろうな。現代には高速移動の叶う乗り物があり、一昔前なら電話が、現在ならネットが「いま」をつなぐことがかなった。しかしこの折に移動手段は徒歩以外になく、ともなれば盗賊の餌食になるものも、行程での病に倒れるものもおったであろう。そして手紙を書いたところで、確実に届く保証もない。そこまでを織り込み、それでも妻は見送らねばならぬ。その思いを、いかほどシリアスに受け止めることが叶おうか。斯様に思わずにおれぬのである。



○儒家センセー のたまわく

「刺平王也。君子行役無期度,大夫思其危難以風焉。」

この詩は周の平王が蛮族の侵攻を受け東に逃れねばならなくなり、国家防衛のために多くの兵を動員せねばならなくなったことを批判するのである!



■にわとりだいしゅき

三國志14 劉放 注

放、資久典機任,獻、肇心內不平。殿中有雞棲樹,二人相謂:「此亦久矣,其能復幾?」指謂放、資。


あたりまえのように「雞棲樹」などと言う名前が出て過ぎる余り、誰もこの記述にツッコミを入れ切れておれぬようである。まあ正直我もここを引用と比定するのはやや無理があるのやも知れぬ、とは思いつつ紹介しておこう。最近作者は chat GPT で遊び倒しており、ここで「後漢末辺りの君子于役における君子および鶏に比定されうる比喩対象はなんでしょうか」と質問を投げた。すると「原文では「鶏棲于塒(鶏がねぐらに戻る)」とあり、夕刻に動物たちが家へ帰る情景が描かれる。これは日常的な“家の営み”を示すと同時に、一日の区切り(時間の流れ)を暗示するものでもある。」と出た。すなわち「今は劉放と孫資の時間だが、その時間が終わるのも間もなくかもしれんな」と、両名が明帝よりの寵愛を得ていることを不愉快に思う夏侯献と曹肇が語っていた、と見なすことが叶うのである。まあ、こうした火のないところに煙をあげつらうほうが本作の方向性には合致しておろうな。



毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%9B%9B#%E3%80%8A%E5%90%9B%E5%AD%90%E6%96%BC%E5%BD%B9%E3%80%8B

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