伐木(引用2:友や親族と助け合う)
伐木
伐木丁丁 鳥鳴嚶嚶
出自幽谷 遷于喬木
嚶其鳴矣 求其友聲
相彼鳥矣 猶求友聲
矧伊人矣 不求友生
神之聽之 終和且平
カーン、カーンと斧が木を打つ。
ほう、ほうと鳥が鳴く。
鳥たちは深い谷間より出で、
木々に移り来たのだ。
ほうと鳴くその声は、友を呼ぶ声。
そう、鳥たちでさえ友を呼び、鳴く。
ならばどうして私が、
友を呼ばずにおれようか。
神よ、この声を聴き、
どうか、終の平穏を。
伐木許許 釃酒有藇
既有肥羜 以速諸父
寧適不來 微我弗顧
於粲洒掃 陳饋八簋
既有肥牡 以速諸舅
寧適不來 微我有咎
木こりたちが掛け声を挙げる。
ともに酒を交わし合おう。
よく脂の載った羊もある。
われらが父祖らにも
召し上がって頂きたい。
もしお越し頂けなかったにしても、
どうか我が想い、
お見捨てにならずにいただきたい。
あぁ、きれいに整えよう。
また豪華な食膳を並べよう。
旨い牡牛を並べよう。
舅どのらに召し上がって頂きたい。
もしお越し頂けなかったにしても、
どうか我が想い、
お咎めにならずにいただきたい。
伐木于阪 釃酒有衍
籩豆有踐 兄弟無遠
民之失德 乾餱以愆
有酒湑我 無酒酤我
坎坎鼓我 蹲蹲舞我
迨我暇矣 飲此湑矣
山あいにて木を切る。
そしてともに酒を楽しもう。
さあ、ずらりと料理を並べた。
兄弟たちよ、そうかそばに。
人々の心から徳が失われるのは、
干し飯のかけらのごとき、
些細なことからではないか。
さあ、我とともに酒を酌み交わそう。
酒がないなら、ともに酒を汲もう。
リズムを刻んでくれ、踊ってみせよう。
今という時を逃さず、
共に美酒を飲み合おうではないか。
○小雅 伐木
聖人にせよ凡人にせよ、人々の助けを得ねばなにも成し遂げられぬ。故に親しきものと交わり、その縁をさらに深めよ、と歌う。ここで描かれるのは、宮殿建設のための木を切り出しておるのであろうかな。皆で手分けして仕事をなし、一日の終わりには宴にて踊り、歌い、笑う。そうして紐帯をさらに堅固として行こう。そのような思いを見出せるかのようである。
■ワイはお見限りなんや……
三國志19 曹植
遠慕鹿鳴君臣之宴,中詠常棣匪他之誡,下思伐木友生之義,終懷蓼莪罔極之哀
これまでも紹介したが、曹植は曹丕に対して「兄上ラブ! 魏帝サイコー! 裏切りません! 裏切りませんから!!!」と、度々典拠ゴン盛りの手紙を送っておる。どちらかと言うとその文面があまりにも才気アピールすぎて、そのせいで曹丕に疎んぜられた気もせぬではないのだが。ここでも伐木を始めとした四詩を引き合いに出して宮廷を懐かしむなど鬱陶しい真似を決めており、自身も文才に自信ニキであった曹丕にとっては「この野郎……」としか思えなかったのではないか。
■やるしかない、やるしかないんだ
晋書85 張軌
吾董任一方,義在伐叛,武旅三萬,駱驛繼發,伐木之感,心豈可言!
時に永嘉元年、すなわち西晋の都洛陽が、劉聡に攻め落とされた頃のことである。西方のはずれ、涼州にも混乱は波及しており、涼州を守っていた張軌の親族であった張輔が、韓稚という人物に殺された。おそらく股肱の臣であったであろう韓稚の凶逆を見逃すわけにはゆかぬ。故に張軌は立ち上がり、韓稚に対して言うのである。私は地方を任されている。ならば反逆者は討伐せねばならぬ。故に三万を率い、そなたを討つ。「あの日共に木を切り合った時のこと」はもう、言い出してくれるな。ただしこの声明を受け、韓稚は降伏している。
毛詩正義
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