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東方未明(無茶苦茶な時間の呼び出し)

東方未明とうほうみめい 引用4件

出仕 あわただしい うっかり 斉襄公批判 節度なし 



東方未明とうほうみめい 顛倒衣裳てんとういしょう

顛之倒之てんしとうし 自公召之じこうしょうし

 いまだ夜も明けぬうちより、

 あべこべに服を着て、

 どっしんばったん、家を出る。

 やれ、斉公さまのお召しだぞ。


東方未晞とうほうみき 顛倒裳衣てんとうしょうい

倒之顛之とうしてんし 自公令之じこうれいし

 いまだ夜も白まぬうちより、

 服の上下もあべこべに、

 ばったんどっしん、家を出る。

 やれ、斉公さまのお召しだぞ。


折柳樊圃せつりゅうはんほ 狂夫瞿瞿きょうふくく

不能辰夜ふのうしんや 不夙則莫うしゅくそくばく

 柳の枝を折り、生け垣に刺し、

 菜園との境とする。

 そうすれば、慌て者どもも、

 その居住まいを正そうというもの。

 それにしても、公のお召しは

 朝と夜とも、遅くも早くも問わぬ。



○国風 齊風 東方未明

斉公の時間を問わぬ召喚に、臣下たちは大わらわ。そのせいで道すがらの農夫たちはガンガン畑を踏み荒らされ、ほとほと参っていたのであろう。そのため柳の枝で柵を作り、菜園を踏み荒らさぬよう対策を取らねばならなかった。それにしても、そもそも斉公さまよりのお召しがもう少し節度あるものであれば、そのようなことを気に病む必要もないのだろうに。



○儒家センセー のたまわく

「刺無節也。朝廷興居無節,號令不時,挈壺氏不能掌其職焉。」

斉襄公の号令は実に気まぐれであり、水時計に基づき時刻を告げるものも盛大に振り回されておった! なにせ襄公はまつりごとを放棄し狩り三昧、荒淫三昧! 配下の気苦労は農夫らにまで及ぶわけである! せめて水時計を見守るものが仕事さえ出来ておれば、臣下らもドタバタせずに済むであろうに、というわけである!



■節度を失うのやーね

慌ただしく動く、と「臣下としての節度を失う」の、どちらの意味でも用いられておるのが伺える。なお后妃伝序の注では「顛倒衣裳」句より邶風綠衣をも想定しておる。あれは衣装と地位のグレードが見合っておらぬ、と言うものであった。ならば当詩と緑衣は接続もしやすくなるのやも知れぬ。


・後漢書10.1 后妃序

爰逮戰國,風憲逾薄,適情任欲,顛倒衣裳,以至破國亡身,不可勝數。

・後漢書40.1 班固上

竊見幕府新開,廣延羣俊,四方之士,顛倒衣裳 。

・晋書51 皇甫謐

夫貴陰賤璧,聖所約也;顛倒衣裳,明所箴也。



■ただのテロに義を与えんな

三國志4 曹芳 注

義無所加,功無所立,可謂「折柳樊圃」,其狂也且,此之謂也。


蜀の宰相たる費禕を郭脩という人物が暗殺したことについて曹芳が讃えた。これに対し裴松之がキレる。「ザコ国家の蜀の、宰相ごっこ気取りの費禕を殺したことを盛大に讃えるとか、「もろい枝で垣根を作る」程度のキチガった振る舞いじゃん、褒める価値ある?」とのことである。「柳の枝程度の脆い枝での生け垣でも、粗忽なやつにはバリケードに見えるだろうな」という感じの功績しか郭脩にはないとのことだそうで、これは裴松之、間接的に費禕が大っ嫌いと見て良いのであろうな。ここで劉宋で費禕に比定されそうなのは、徐羨之あたりであろうかな。



毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%BA%94#%E3%80%8A%E6%9D%B1%E6%96%B9%E6%9C%AA%E6%98%8E%E3%80%8B

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