表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/326

雞鳴(夫を起こす妻/暗君を叱咤激励する賢妻)

雞鳴けいめい 引用4件

夫婦 夜明け 鶏 斉哀公批判 陳賢妃



雞既鳴矣けいききゅうめいいー 朝既盈矣ちょうきえいいー

匪雞則鳴ひけいそくめい 蒼蠅之聲そうじょうしせい

 鶏の鳴き声が聞こえた。

 朝が明けたのだろうか?

 いや、鶏ではなかった。

 ハエのたかる音であったのだ。


東方明矣とうほうめいいー 朝既昌矣ちょうきしょういー

匪東方則明ひとうほうそくめい 月出之光げっしゅつしこう

 東の空が明るい。

 朝になったのであろうか。

 いや、明るくなったわけではない。

 月が輝いていたのだ。


蟲飛薨薨ちゅうひこうこう 甘與子同夢かんよしどうむ

會且歸矣かいしょきいー 無庶予子憎むしょよしぞう

 羽虫がぶんぶんと飛ぶ。

 あなたと共に寝床にあるのは

 喜ばしいが、

 朝のあいさつに出向いてこられた人が

 帰ってしまうかもしれません。

 私のせいであなたが憎まれるなど、

 あってはならぬこと。



○国風 齊風 雞鳴

共に夜を重ねたのち、そろそろ朝がやってくる。今だ朝でなどないのに、些細なことを朝のきざしとして見做してしまうのは、まかり間違っても寝坊をさせたくはないという思いのゆえであろうか。しかし虫の羽音が鶏の鳴き声と重なるとは、ずいぶん雅やかな認識もあったものである。



○儒家センセー のたまわく

「思賢妃也。哀公荒淫怠慢,故陳賢妃貞女夙夜警戒相成之道焉。」

斉は周の国が立った時、太公望=姜子牙にその封爵地として与えられた地! 古来より王らにとっての聖地とされる泰山を擁する、霊験あらたかな地である! だがそんな国を治める五代目の哀公は好淫怠慢であった! ゆえにその奥方氏は哀公を斯様に叱咤し、政務に滞りの生じないよう仕向けたのである! とは言え哀公はその諡通り、最終的には臣下よりの讒言が周王にもたらされ、その咎によってかまゆでの刑に処されたのだが!



■おめーら考えすぎです

漢書99.3 王莽下 注

師古曰:「䵷者,樂之淫聲,非正曲也。近之學者,便謂䵷之鳴,已失其義。又欲改此贊䵷聲為蠅聲,引詩『匪雞則鳴,蒼蠅之聲』,尤穿鑿矣。」


王莽に関する評を述べる箇所に出てくる「䵷」字(エロい音楽がよろしくない、の意)について、唐代の学者たちが無駄にうがって当詩の『匪雞則鳴,蒼蠅之聲』を引いて蝿に結びつけようとしておる、と漢書注をなした顔師古が呆れておる。いつの世にも無駄にうがちすぎて過ぎたるはなお及ばざるが如しと孔子に呆れられてしまう者がおるようであるな、そう、作者とかな。



■まあ本当は小雅引用なんですけど

三國志62 胡綜

臣今日見待稍薄,蒼蠅之聲,緜緜不絕,必受此禍,遲速事耳。


孫呉の臣下である胡綜が政治の乱れを切々と訴え出た一説に出てくる「蒼蠅之聲,緜緜不絕」は、飽くまで小雅蒼蠅に言う「蒼蠅を悪臣と結びつけるもの」が含意である。であるのだが、句形そのものを当詩から拾い上げている、と言うのもまた拾っておくべきであろう。おそらくこれは上奏文としての句形合わせの必要から生じておるのであり、おそらく厳密に論じれば「当詩より断章取義、小雅蒼蠅より引用」という属性となる。



■会い、帰る

当詩に見える「會且歸矣」の省略形である。「気まぐれさ」の象徴として用いられるのであろうこの句は、たとえば魏書では金星の気まぐれさを論じる動詞として用いられておるのが見える。晋書のほうは「帰するところに巡りあう」であるから、やや当詩よりの引用とも言い切れぬのやも知れぬ。


・晋書20 礼中

傳記有與今議同者,亦具列之,博舉二隅,明其會歸,以證斯事。

・魏書107.2 律暦下

太白之行,頓疾頓遲,取其會歸而已。



毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E4%BA%94#%E3%80%8A%E9%9B%9E%E9%B3%B4%E3%80%8B

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ