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神主見習いの俺、愛が重すぎる幼馴染(実質嫁)と同棲生活を始めました  作者: ブヒ太郎


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最終話

二月。

美影高校の卒業式は、進学や就職で東京方面へ引っ越す生徒たちの準備期間を考慮し、全国の高校よりも少し早く行われる。


式典が終わり、教室では生徒たちが別れを惜しみながら、卒業アルバム用の写真を撮り合っていた。

喧騒の隅で、朱音が隣に立つ巴の腹回りをじっと見つめ、呆れたような声で口を開いた。


「……冬休み中にでも食い過ぎて太ったかぁ?」


指定の冬服の上からでも、巴のお腹がほんの少しだけふっくらとしているのは誤魔化しようがなかった。

巴は隠す素振りも悪びれる様子もなく、得意げな笑みを浮かべた。


「いやぁ~、壮一郎と愛し合いすぎましてねぇ……」


「おい、それって……」


朱音が目を見開く。巴はさらに胸を張り、ニヤリと笑った。


「安心しろ、旦那様公認だ」


「公認だっ! じゃねぇよ! おめでとう!!」


朱音の大きな声に、近くにいた瑞希と美咲も何事かと集まってきた。

事の次第を知った二人は驚きつつも、一月にすでに籍を入れ「神代巴」となっていた彼女の懐妊を、心から祝福した。


和やかな歓談の中、巴は三月に執り行われる予定の結婚式の日取りを伝え、もし都合がつけば来てほしいと、大切な親友たちを誘うのだった。


ややがて、帰りの会も終わり、本当の別れの時がやってきた。

昇降口へ向かう廊下で、巴は都会へと旅立っていく三人に向かって、いつもと変わらない調子で声をかけた。


「高校卒業後もたまには戻ってくるでしょ? まぁ、そん時はまた4人で積もる話でもしようぜ……あ、5人か」


「気がはや……くないのか……」


朱音が呆れたようにツッコミを入れるが、巴のお腹に視線を落とし、すぐに納得したように息を吐く。


「まぁねー」


巴が幸せそうに微笑むと、朱音は少しだけ寂しそうに、けれど清々しい笑顔を見せた。


「……ま、幸せにな、巴」


そうして、それぞれの道を歩む四人は、笑顔で別れを告げた。


巴が一人で学校の門を出ると、冷たい冬の風が頬を撫でた。

視線を上げると、少し離れた場所に停められた見慣れた車の横で、私服姿の壮一郎が待っているのを発見した。


「壮一郎~~~っ!」


巴は嬉しさのあまり大声を上げ、いつものように彼に向かって駆け出そうとした。

しかし、彼女が足を踏み出すよりも早く、壮一郎の方が地を蹴っていた。


いつもならその場で立ち止まり、飛び込んでくる巴を受け止めるだけの彼が、自ら真っ直ぐに巴のもとへ走り寄ってくる。

身重の妻を走らせまいとする、彼らしい行動だった。


壮一郎は巴の目の前で足を止めると、その身体を壊れ物でも扱うかのように、優しく、しかし力強く抱きしめた。


「お疲れ、巴」


「うんっ!」


冷えた身体が、壮一郎の広い胸の温もりに包み込まれていく。

巴は安心しきった声で返事をし、その背中に腕を回した。


壮一郎は巴の頭を優しく撫で、少しだけ身を離して彼女の顔を見つめると、柔らかく微笑みかけた。


「じゃあ、帰るぞ。我が家へ」


二人は肩を寄せ合い、車に乗り込むと、これから一生を共にする『我が家』へと向かって、ゆっくりと走り出すのだった。


(Fin)

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