暗転
「椎名さん!待ちなさい!」隣のクラスの先生の声が聞こえた。
椎名がなにかしたのか?
「関田、今度は椎名何やらかすんだろうな。」隣りに座っている一木が話しかけてきた。
こいつはいいやつなんだがなあ、こういうところが鈍い。
「俺も行ってくる。」椎名を止めねえときっとまずいことになる。そう確信している。
先生の目を盗んでクラスを抜け出した。
遠くで 関田さんもですか!という声が聞こえた気がしたが無視、無視。
「あり、関田も?」この声は石田か。
「ああ、そうだ。お前もあれか。」
「「椎名がイキってるから多分やばいって思った。」」はもった。
石田ってなにげに可愛いからちょっとうれし「関田、ニヤニヤしててキモい。」
これは手痛い指摘を食らった。関田はつらいよ。寅さんじゃなくて拓さんだけどね。
廊下を走って椎名がいるであろう校門前まで急ぐ。
石田から「龍二くん大丈夫かな」という声が漏れた。
「あいつなら大丈夫だろ。」と笑ってみせると「なにそれ」と笑われた。
かわいい。別に恋してるわけじゃないぞ。誰に言ってんだ。
下駄箱を抜けて校門前についた、が誰もいない。
「なにあれ!」石田が指差す方を見ると鉄の匂いがする赤い水溜りがあった。
「これは…血溜まりか?」考えたくない。
椎名が殺された上連れ去られたのか、椎名が殺して連れ去ったのか。
どちらも最悪だ。
「オイ」後ろから声が聞こえた。
「椎名!」後ろには椎名がいた。
制服の左胸の部分が血まみれだが、生きている!
「オマエラ、ニンゲンカ?」「どうしたの?椎名」石田が呼びかけるが返事がない。
「おい、どうしたんだ椎名。おかしいぞ。」というと椎名はふっと笑った。
「オレハ、シイナトイウニンゲンデハナイ。オレハマオウ。
コノカラダにスクウセイシンセイメイタイダ。」
…は?全く理解できない。
こいつは椎名じゃない?マオウ?魔王のことか?それともいつもの戯言?呪術?
理解が追いつかない。精神生命体?宿儺?
「コノニンゲンノカラダハスゴイ。俺ノ精神ガ呑ミ込マれていク。オレハもうジキ椎名とやラの
一部になルダろう。だかラ、オマえらにイッテおク。」
魔王は続けていった。
「このセカいはすテろ。すべてのニンゲンが力ヲ持つとき、この世界は大戦乱に落ち、俺の復活とともに滅びる運命にある。止めたくば強くなれ。そして、俺を楽しませろ。じゃあな。」
そう言って魔王――身体は椎名――が倒れた。
「どういうこと?世界が滅びる?戦争で?魔王で?今、魔王は椎名の一部ってこと?」
「そういうことだろうな。胸の傷から見て椎名は呪術的な虎杖的なタイミングで死から復活を遂げ、
魔王に蘇生してもらった感じか。」
んで、「不審者は魔王の力でワンパンってことね。だとしたら、そいつ死んだ?」
確かに見当たらない。焼き尽くしたのか?
「いや、よく見たらあそこで気絶してるわ。覇気でぶっ倒れた?」
ワンピースかよ。
「石田、警察と救急車を呼ぶように先生に伝えてくれ。俺は椎名の脈とか意識とか確認するから。」
「関田が命令しやがって… いいよ!」ん?なんか今変なことが聞こえた気がしたが…
結局、殺人犯はパトカーの警察に自首してその場で逮捕になった。
椎名は気絶したまんま病院に運ばれた。
学校は騒然としたが、俺と石田で噂を全否定して殺人犯侵入事件は終了した。
「これが最初の話だ。」俺は話し終えてその後に起こったことも含めてすべてを思い出す。
「ちょっと待て。あんたは殺人犯のこと結局倒してないのかい?魔王が倒したって…
つーか、それ初耳だぞ!なんで話さなかったんだよ…俺の成績に関わってくんだぞ…」
「知るかよ。福田、あとなにを話せばいいか教えろ。」イライラしてきた。
このあとのことを考えたからだ。クソ。
「何でも話せよ。お前の思い出、全部な。」今度隠匿してたのわかったら死刑だかんな、と
うそぶいている。
「わかった。次は目を覚ましたあと、退院後の話だ。」
2019年5月1日のことだ。




