一話「始まり」
飽きるまでよろしくおねがいします
俺は、ある日変な夢を見た。実体験みたいな夢だ。
俺は氷を使って大きな黒いもやを封じて、
友達がそのもやを不思議な力で押さえつけたり、
切ったり、
燃やしたり、
急に吹き飛ばしたり。
そうやって戦う夢だ。
俺は最後にもやにとどめを刺して
皆と笑いあった。
最初は夢だと思ってなかったが、
突然「ああ、これは夢なんだ」と思って
涙が出た。
なんでだろ。
「今日も学校か…」俺ははあ、とため息を付きながらいつもの公園に向かう。
俺は椎名 龍二、中学1年生だ。眼鏡の、実に平凡な、むしろ地味な、男です。
「おい、椎名。何ボーッとしてんだ?」と大柄な男が突然話しかけてきた。
いつの間にか公園についていたようだ。この男の名前は関田 拓海。明らかに拓海じゃない
風貌の男だ。でっぷりしてるし、老け顔だし。
「なんか失礼なこと考えてね?」関田はちょっとイラッとした口調になっている。
「い、いや?別に?老け顔とか?おもってないし?」
「言ってんじゃねーか!」
しまった、言ってしまった。なんやかんやで関田とは長くやっている。
今でも一緒に登校する親友だ。ふと気になった。
「お前さぁ」
「なんだ?」ちょっと言うのをためらうが…
「魔法って使える?」
「いや、無理だな。どうした?」やはりか。
関田が何だ?厨二病か?とはやしているのを無視して考える。
あれって、正夢ってやつかな!と。のんきすぎるな。才能もないのに。わかんないけど、絶対。
「いや、夢見てさ、魔法使って敵とバトるの。」
「ははっ(笑)中二病やん」煽ってきたあああああ!!!
いや、俺にだって魔法ぐらいうてんよ(適当)!と思い、
昨日の雨でできた水溜りに「凍れ」とつぶやき指を向けてみた。
「関田…」
「どうした?」
「あれを…」その水溜りを指さした。
氷の張った水溜りを。
「それが最初か、魔王。」薄暗い部屋、否、牢屋にて。
俺が質問に答えると、中年刑事の福田 守はタバコの煙を吐き出した。
「そんなチンケな事から始まったのか?災害級の大魔獣を倒したとかじゃなくて。」
なんで残念そうなんだよ。それ事故だろ。
でも「あるといえばあります。魔法で解決した事件。」福田は身を乗り出した。
「本当か、ありがてえ。あんたのファンの嫁とおふくろに聞かせられる土産話になりそうだ。良かった。」
脅されてんのかよ。まあいい、話そう。あったこと全部。
「その年のその日、うちの学校に殺人鬼が転がり込んできたんだ。」
ほう、と息をこぼしてから「いいね、面白そうだ。」と福田は笑う。
そう、これは2019年4月23日のことだ。




