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は立ち尽くしている。―迎えが来ないのだ。
「―寒い…」
―我にはわからんが…
「…だろうね、竜装展開したら暖かいかな?」
―やめておけ、衛兵が飛び出してくるぞ。目立ちたくないのだろう?
ガチガチと歯を鳴らしながら吹雪の中震えていると、しばらくして遠くに影が見え始めた。ようやくきたらしい。
―気をつけろ。
ブラッドの低い声にバスクもスイッチが入る。感覚共有していなくても分かる。あの影は魔力を帯びている。ただの動物では無い。―少しして吹雪の中から現れたそれは、四足歩行でありながら地上からの高さは五メートルほどもあろう、大きな狼だった。
―スノーヴォルフだな
地面の雪を舞い上げながら腰を下ろした巨体の横にある、荷台と思しき箱から人が顔を出す。
「遅れて申し訳ありません、お迎えにあがりました。竜装騎士バスク殿ですね?」
「…あ、はい」
スノーヴォルフについて聞く暇も無く、ガルヴァの迎えに促され、巨大狼の横腹に括り付けられた荷台によじ登る。荷台の中は暖が取られていた。中には三人の騎士が乗り合わせているようである。
「―吹雪で見通しが悪く、遅くなり申し訳ありませんでした。重ねて非礼を詫びます」
そう言って頭を下げた騎士は女性だった。薄く灰色がかった髪が外からの風に揺れる。早くもバスクは混乱した。
「いぃい、いえいえ、だっ大丈夫ですよ、全然問題無しですっ!」
急に挙動がおかしくなったバスクを見て、流石に三人の騎士たちも警戒を強める。女性騎士が不安げに問いかける。
「…どうされました?寒いのであれば暖炉の近くに…」
「そうさせてもらいます!」
若干喰い気味で返答したバスクは、暖炉を挟んだ反対側へと最高速度で移動した。
―警戒心を煽ってどうする…
ブラッドの指摘通り、騎士たちはバスクの高速移動に驚き、敵意を強めていた。女性騎士と距離を取った事で余裕のできたバスクは、現状を再確認してから、黙って座り膝を抱えた。
「―もう、帰りたい」
ガルヴァ連邦主都、ダーニア。ダーニアに入ると、街灯から伝わる暖かさで寒さも和らいだように感じる。




