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2代目天狐と鬼天狗  作者: 涼井 菜千
新たな標的
65/76

64 【妻】

「お待ちしておりました、十六夜さん」


 開かれた扉の向こう、その人は悠依たちに背を向け窓の外を眺めていた。


「――この一週間、私も待ち遠しかったですよ」

「さあ、お座りになってください。空木、柳木。お前達も席を外してくれ」

「はい」

「カシコマリマシタ」


 空木と柳木を退室させ、前々学園長は訥々と話し始めた。


「さて、まずは自己紹介から行きましょうか。私は不知火しらぬい藤二郎とうじろうと言います」

「不知火さん、私は先日も申しましたとおり、十六夜いざよいいつきです。そしてこちらは……」


 学園長に促され、悠依も自己紹介をした。


「申し遅れました、私は神月悠依と申します」

「神月……?」

「はい」


 不知火の鋭い目線にも悠依は1歩も引かずに返した。


「何か、神月、という名に覚えでもおありですか……?」

「悠依ちゃん、落ち着いて」


 小声で学園長に諭され、悠依はハッとした。


「すみません……」

「いや、それで、十六夜さん。私に何の御用でしょうか?」

「不知火さんに折り入ってお話が」

「――3千年前のお話ですか?」


 不知火の言葉に2人は固まった。


「なぜ、お分かりになられたのですか」

「いつかは来ると思っていたことです。確かに、3千年前のことは知っています。しかし、私は当事者ではありません」

「――どういうことでしょうか」

「学園長を務めていたのは私ではなく、今は亡き私の妻、不知火しらぬい実栗みくりなのです」

「そうなんですか……」

「しかし実栗、彼女は亡くなる直前までずっと後悔していました。“なぜ私はあんなことをしてしまったのか”と」


 そうして不知火は3千年前のことを切々と語り始めた。

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