63 【2度目の接触】
そして土曜日、悠依は再度あの屋敷に向かっていた。
「はぁ、大丈夫かな」
呟いた悠依に黎羽が声を掛けた。
「案ずるな、あの男の様子ではきっとすんなり教えてくれる」
「黎羽様……。そうですね!」
学園長とは屋敷の前での待ち合わせだった。悠依たちが着くと、学園長はもう着いていた。
「学園長! 遅れてすみません!」
「いや、大丈夫だよ。黎羽様も一緒かな?」
「はい!」
「それと悠依ちゃん、今言うことではないと思ったのだが、君さえよければ私のことは学園長ではなく、十六夜さん、とでも呼んでくれないか? どうも君に学園長と呼ばれると違和感があってだなぁ……」
「えっ! 私はいいですけど。学園長はよろしいんですか?」
「もちろんだとも!」
「では……十六夜、さん」
「ああ。そう呼んでくれた方が嬉しい」
学園長は優しく微笑んだ。
「さあ、そろそろ行こうか。黎羽様、水晶の中に。今日が本当の接触だよ。覚悟はいいかい?」
「はい!」
「では、門を叩いてみるとしようか……」
そうして悠依たちは再度、あの大きな扉の前に立った。
チャイムを鳴らし、少し待つと空木と柳木が姿を現した。
「お久しぶりです」
「皆サンオ揃イデスカ?」
感情のわからない表情の空木と厳つい見かけに反してとても物腰の柔らかい柳木。
この間と何も変わらない二人に、屋敷の中へと招かれた。
(あれ……?)
しかし、先導の二人はこの間案内された応接間のような部屋を通り過ぎ、また違った雰囲気の部屋の前に止まった。
二人は応接間に負けず劣らずの扉に2回ノックをした。
「ダンナサマ、オ客様ガオ見エニナラレマシタ」
「失礼してよろしいでしょうか?」
扉の向こうから「ああ」と小さく返事が聞こえた。その言葉を受けた空木と柳木により、扉が開かれた。
悠依達にとっては重大な意味を持った大きな扉が……。




