28 【白狐】
部屋は思っていたよりも広く綺麗だった。
「おぉー!」
「結構広いな」
「そりゃあ4人部屋だからね。じゃあ遥季、僕部屋に荷物置いてまっすぐ仕事行ってくるから、夕飯までには戻るけどそれまでみんなのことよろしくな?」
「おう! いってら!」
「いってきます」
――10分後――
「で、遥季。悠依の様子は?」
「ここ着いてからずっと寝てるよ」
「妙ですね……」
「薙癒?」
「だってそう思いませんか? 家を出る時も星劉を出る時も元気だったのに……」
「……なぁ。悠依の耳になんか生えて見えるのは俺の気のせいか?」
「え!?」
架威の声に薙癒と遥季は悠依に駆け寄った。するとそこにはフサフサとした耳を生やしながら“すーすー”と寝息を立てる悠依の姿があった。
「ん……? あ、遥季? 架威に薙癒さんも。どうしたんですか?」
「どうしたんですかって……」
「お前自分の頭に違和感ねぇの?」
「頭?」
起き上がり頭に手を伸ばす悠依。しかし、その姿にはもう一ヶ所おかしな場所があった。
「悠依、頭だけじゃなくお尻もだ」
「お尻?」
そういいながら頭とお尻を触る。
「な、なんかモフモフしてるんだけど!!」
「だよなぁ。 これは……“狐”か?」
「狐……?」
「あぁ、しかも白い。“白狐”か?」
「白狐……」
「架威、お前白狐の力あったっけ?」
「あるわけないだろ。これはおそらく現世の神の白狐だろう?」
「現世って……そんな力どうやって……」
「あ! 悠依、お前の父さん、現世で生きてるって言ってたよな! その父さんって妖狐だったりしないか?」
「妖狐……が、学園長に聞いてみる!」
2コールの後、応えた学園長の声は前に会ったときより疲れたような感じだった。
「はい?」
「あ、学園長! 神月です!」
「あぁ、悠依ちゃんか。 どうしたんだ? 突然、何か困ったことでもあったのかい?」
「あの、えっと。私の父って狐だったりしないかと……」
「幽羽さん?」
「はい!」
「――突然どうしたんだ? まあいい。確かに君の父親、幽羽さんは現世でいうところの“神様”だよ。狐のね」
「神様……」
「それで? そのことを聞いてきたってことは、耳でも生えたかい?」
「えっ!? な、何でこのことを!!」
「なんとなくだよ。気にすることはない。どうせ、蒼麻に誘われたのだろう? 行き先は確か……天曳だったか? その地は観光で有名だが、社や祠も多い。その気にあてられたのだろう。帰ってくればすぐになおる。だが天曳にいる間は仕方がない、蒼麻に隠す方法と事情を話しておくから蒼麻に何とかしてもらいなさい」
「はい! ありがとうございます!」
「いや、頼ってくれて嬉しかったよ。あんなことがあった後だからね。もう話してももらえないかと思っていたんだ。これからも何かあったら連絡しなさい。力になれると思うから」
「はい! ありがとうございました!」
それから30分後――
予定より早めに帰ってきた陽翔により悠依は元に戻ったのだった。




