13 【変化】
織斗の事件があった数日後、悠依の体にある変化が現れた。
朝、悠依がいつも通り起きると、頭と背中、それとお尻に違和感を覚えた。
(なんだろ。なんか頭が重い? それになんか背中かゆいし。重心後ろに傾いてる気がする?)
そう思いながらも悠依は朝ごはんを作り食べていた。
今日は休日、家でのんびりしようと悠依は寝るときの格好ですごしていた。
すると家の呼び鈴が鳴った。扉から覗くと遥季が立っていた。
(なんだろ?)
「はーい」
「あぁ、悠依……!?」
悠依を見た遥季の顔が一瞬にして真っ赤になる。
そして「ちょっと!」と言いながら中に入れられ扉を閉められた。
「わ!」
その拍子で悠依は段差につまずき(転ぶ!)と目を瞑った。
しかしいくら待ってもその痛みが来ることはなく、代わりに柔らかい感触に襲われた。
そっと目を開けるとその目に映ったのは遥季の胸、どうやら悠依は遥季に抱きとめられたようだった。
「あ、ありがとう……」
その間も遥季は俯いたままで一言も話さなかった。
ソファに座り、少し落ち着いたころ。突然遥季が話し出した。
「それどうした?」
「それ?」
「え!? まさか気付いてないのか?」
「うん……」
「見たほうが良いって! ほら!」
手渡された鏡を見た悠依は呆然とした。
それもそのはず、そこには頭に耳、背中には羽、お尻に尻尾がついた状態の悠依が映っていたのだから。
「え!? なにこれ! どういうこと!?」
悠依は軽いパニックに陥っていた。
「落ち着け悠依! おそらく、架威の血を輸血した影響だ」
「架威の? ――あ! じゃあこれ鎌鼬!?」
「おそらくな。……ちょっと待ってろ。架威呼んでくる」
ーー数分後
「なに耳はえたって?」
架威は笑いながら入ってきた。しかし、悠依を一目見るとさっきの遥季と同じように顔が真っ赤になっていき、「やべえ。思った以上に可愛い」とつぶやいた。
「で? 俺つれてきて何したいの」
「お前に妖怪変化してもらいたいんだ」
「はぁ!? めんどくせぇな」
「あの……遥季? 妖怪変化って?」
「あぁ、耳、羽、尻尾がついた状態になることだよ。簡単に言うと今の悠依みたいな感じになることかな」
「へぇー……」
(見たいなー)
「……しょうがねえな」
そういうと架威の体が光りだし、ボワンッという音とともに煙に包まれた。
煙が晴れ、現れた架威の姿はまさに今の悠依と同じだった。




