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87日目 てんどん

 運転席にはヒカリ、助手席には描写するのも面倒な教官、後部座席の真ん中にマサヤ。

 ルームミラーからの視線をすごく感じる。

「ではこの時間は急ブレーキの実習を行います。直線でスピードを出せるだけ出してください」

 助手席の教官の足元にはブレーキがあり、そこに足を載せている。

「はい」

 ヒカリに任せておけば災厄など起きることはないと頭ではわかっているマサヤだったが、狭い教習所内の道路で想像以上に出るスピードに表情が引きつった。

 そしてカーブに差し掛かる直前で急ブレーキがかけられて止められ、シートベルトをしていても前につんのめる。

「あ、マサヤが私に抱きついてきた」

「後ろの弟さん、シートベルトはちゃんと締めてください」

「すみません」

「そしてお姉さんは弟さんをいつまでも抱きしめていないでください。首が絞まってますよ。ついでに後ろが混雑しています」

 それから暫く敷地内を走っては、周りの車の流れを見てまた直線でスピードを出して急ブレーキ。そしてマサヤがまたヒカリに突っ込み抱きしめられるというのを1時間の間、何度も繰り返した。

 運転については問題がなかったので無事に合格点はもらえた。

「ふん、あの教官は最低ね」

「まさか姉ちゃんの脚を見てたとか! 許さない!」

「私とマサヤのドライブデートを邪魔したのよ。空気読んで走って追いかけてくればいいのに」

「そうですか。帰りましょう、お姉さま」

 これからヒカリの教習所通いが始まるが、基本的にもうどうでもいいです。

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