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74日目 ごらんの有様だよ!

「今度は僕がサッカーを教えてあげるよ。いいよね、姉ちゃん」

「リフティングとかできる? 私はできない。膝汚れるから」

 ならなんで芝生ではなく土の地面でサッカーをはじめたのだろうか。

「久しぶりだけど、結構できるよ。ほら」

 足の裏でボールにバックスピンをかけて、サーカスのピエロのようにポンポンと意図も容易くボールを操る。

「お兄ちゃんを産まれて初めて尊敬してもいいと思えるぐらいには上手い」

 運動嫌いのアカリが珍しく、そんな素直な感想をもらすぐらいには、マサヤの腕(足だが)は目を見張るものがあった。

「私、こんなマサヤ、嫌いよ!」

「なにを言ってるの、お姉ちゃん。珍しくお兄ちゃんが真剣になってるんだから、ゲーム以外で」

「だってボールばかり見て私を見てくれないじゃない!」

「そういう問題なの?」

「あ、それは別のネタだった」

「フリーダムすぎるよ、お姉ちゃん」

「特技のあるマサヤなんてかわいくない! マサヤ、リフティングはもういいから、パスとかドリブルやってアカリに教えてあげて」

「別に教えてくれなくていいんだけど」

「ドリブルなら任せて!」

 マサヤがそれもまた上手く、リフティングから切り替えてボールを蹴って走る。

「あんなマサヤいやー!」

 頭を抱えるヒカリ。

「お兄ちゃん、パスして、ぱーす!」

 遠くに行ってしまったマサヤにアカリが手を振ると、変に助走をつけたマサヤがボールを蹴り、それが明後日の方向に飛んでいく。

「ホームラン」

「パス練習は1人じゃできない……」

「そんなマサヤ大好き!」

 サッカーは3人には合わなかった。

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