73日目 テンプレ1番 電話は2番
「仕方ない。私の本気を見せてあげるから、2人とも、そこにいて」
疑心の目を向ける2人に対し、アカリが転がったボールの元まで駆け寄り、両手で抱えて元の位置に戻り、まるでビリヤードでもするかのように丁寧にボールを置く。
「いくよ」
「おお、女の子キックだ」
無駄に全身を振り回すように体が動かされる動作を見て、一応の男の子であるところのマサヤが茶化すも、アカリは真剣だ。
「しゅーと!」
後ろに大きく溜めを作ってから振り抜かれた足は空を掠めた。
「ぶふっ」
見事に靴だけをマサヤの顔面に飛ばして。
「お兄ちゃん、私の靴取らないでよ!」
「理不尽きわまりないな!」
僕はマジシャンか、などとぼやきながら靴を持ってアカリの足の下に置く。
「ボールを蹴る時は、ちゃんとボールを見た方がいいよ。まったく掠ってないから」
ゴルフならまだしも、とまたぼやきながらマサヤはヒカリの隣に戻る。
「お兄ちゃんなんかに負けるのは癪だけど、ボールをよく見て」
今度は助走をつけて、大きく振り抜いた!
「やった、当たった!」
「アカリー、救急車1台」
加減なしで蹴ったアカリのボールは見事、マサヤの顔面に減り込んでいた。靴と一緒に。
「サッカー怖い」
「あ、それ知ってる。落語でしょ? それはサッカー好きってことだよね」
「饅頭じゃないよ! ってこのタイトルならカステラでしょ! ってか、すごく痛いよ!」
「マサヤ、興奮して鼻血出てるよ」
「そうじゃないんだよ。もう帰りたい」




