63日目 熟してこそ味がでる
「マサヤ、アカリ、メロンもらってきたよ」
「え? 今時期なの? って今何月?」
「気にしたら負けよ、アカリ。なんなら明日はスイカを持ってこようか?」
「世界観崩壊はやめて」
「姉ちゃん、これっていつ食べ頃なの?」
「あと二、三日かしらね。マサヤは熟しすぎたのは苦手なんだものね」
「うん、柿とかバナナも柔らかくなったのは苦手なんだ」
「そうよね……私、ちょっと今まで勘違いしていたみたいね」
おいおい、と口元に手を当てて泣き崩れるヒカリ。
「姉ちゃんどうしたの?」
「今のはお兄ちゃんが悪い」
アカリからは冷たい視線が向けられる。
「マサヤも私みたいなおばさんじゃなくて、若いアカリの方がいいわよね」
「なんでそこで私が出てくるのよ。ほら、お兄ちゃん、ちゃんとフォローしないと社会的に死ぬよ」
「社会的に!?」
メロンの話でなぜこうなったのか、いくら考えてもマサヤにはわからないが、ヒカリが泣いている姿は見ていられない。
「えっと……僕は姉ちゃんのこと、嫌いになんてならないよ?」
「同年代の女の子と私、どっちが好き?」
「そりゃ姉ちゃんの方が大事だよ。……友達いないし、アイドルも興味ないし、2次元にしか友達いないし」
「私、マサヤと結婚します!」




