61日目 チーズの味はしないはず
「田舎を舞台にした恋愛アドベンチャーゲームは素敵! アニメ化も素敵! 弟萌えという新しいジャンルを……」
「そのネタをわかる人はほとんどいないし、お兄ちゃんも世界線越えてる」
「で、今日は昼からピザなの?」
「なんかタイムセールみたいなの。マックでもお昼はセットが安いとかやってるから、あれの派生だよ。ジンオウガ亜種みたいなもの」
「3DSの方のモンハンはやってないんだよ」
「なんで? これなら家でネット繋げて、日本のどこかのプレイヤーと協力できるじゃん」
「僕友達いないし、ネットで作れると思えないし、きっと無様に3オチして、みんなに舌打ちされるんだよ」
「協力プレイのあるゲーム、お兄ちゃんできないもんね」
ゲームの腕はそこそこでも、対人能力が底辺を這っているのだから仕方ない。
「あ、ピザ来たから、お兄ちゃん取ってきて」
「え? 誰も来てないけどって言った瞬間に家の外にバイクの音が! そしてチャイムが!」
「実況いらないから早く、冷めちゃう」
「どんだけピザ好きなんだ」
一円単位までピッタリ用意されているお金に配達員も喜んでいた。
「チーズのいい香りだ」
「き、キスは事故でもしないからね!」
「いや、そんなつもりはないけど、なんでピザ好きなの?」
「誰が電波女で魔女だ!」
「言ってないし」
「早くコーラも持ってきて!」




