18日目 結構なお手前で
「さあ、今日の夜ご飯は焼肉食べ放題だよー」
牛に豚に鶏と、スーパーで安売りされていた肉をたくさん買ってきたが、両親も姉も仕事とバイトで不在。
「二人で焼肉って寂しくない?」
テーブルの中央に鎮座するホットプレート。
「でも、フライパンで焼いて、焼肉のタレをかけて食べるよりは美味しいでしょ?」
「そうだけど」
そう言いながらもアカリは食べる気満々で、プレートの上で、じゅーじゅーいい音をさせる肉を凝視している。
「僕が焼いていくから、どんどん食べてね」
「私を太らせて食べる気?」
「そういう気はないけど」
「普段から私がお兄ちゃんのこと、ぞんざいに扱うからってそんな酷い仕打ちにでるんだ」
「そうじゃなくて、美味しいものを食べてもらおうとしているだけだよ」
「そんなこと言ったって、お兄ちゃんの思惑通りに私は動かないんだからね」
タレの皿にチューブのにんにくを、文句を言いながらアカリが絞る。
「まったく、焼肉なんかでダイエットを気にする女の子が喜ぶわけ」
ぶつぶつ言いながらにんにくを混ぜている。
「牛もういいよって言ってる間に食ってる」
「太ったらお兄ちゃん、責任取ってよね」
「どう責任取ればいいんだ? はい、豚トロ。脂のって美味しいよ。こっちの鶏はもうちょいだね。野菜も食べなきゃ駄目だよ」
「お兄ちゃんが今日は意地悪に見える」
「そう?」
「一人で食べるの寂しいよ、たべにくやきほうだい」
そう言いながら口の中いっぱいに肉を頬張るアカリ。
食べてる時だけは大人しくて、素直な妹である。




