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青い落雷  作者: KaJyun
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 格子を隔て、自分は彼女と向き合っていた。


 「あなたの処刑が決まりました。」

 淡々と事実を告げる。

 彼女は束の間瞑目した。

 「そうか。」


 牢の中でも彼女は美しかった。

 やや頬が削げ、青白い。唇にも血の気はない。しかし、それがさらに黒髪の美しさを引き立たせていた。


 「共に逃げませんか。」

 自分は青い目をひしと見つめた。

 見つめ返してくる無感情な双眸。


 「家は、どうする。」


 「兄がなんとかします。」


 「帝の側が勝つ保証はない。」


 「先ほど、叛乱の首謀者の寝首をかいてきました。ここまでやったのです。後は、あちらに自力でどうにかしてもらわなくては。」


 彼女は声を立てて笑った。

 「追われる身が、こんなところで油を食っていいのかい。」


 「油を撒いて、火をつけました。じきにここにも火が回ります。それまでにあなたを連れ出したかった。」


 けたけたとひとしきり笑ったあと、彼女は言った。

 「私は退屈が我慢ならない性質なんだ。」


 「旅をしましょう。決して退屈することはありません。」


 「他人が好きでないから、住むのは人里離れた場所がいいね。」


 「とある竹林の中に、庵を結ぶ準備ができています。里に降りれば大体のものは手に入る場所です。」


 「書がないと悲しくて死んでしまうかも。」


 「あなたの蒐集した書は、焼かれる前に全て回収してあります。」


 彼女は目を見開いた。

 「ほんとうか。」


 「はい。庵に運んでおきました。心ゆくまで自堕落な生活を、どうぞ。」


 「おまえは、ついてくるのかい。」


 「お望みとあらば、どこまでも。」


 「いいね。最高だ。」

 あなたは優しく笑った。


***


 叛乱は収められ。

 帝は治世を取り戻した。


 「里の人間に我々の関係をどう説明すればよろしいでしょうか。」


 「夫婦(めおと)といえばよいじゃないか。」


 「よろしいのですか。」


 「構いやしないよ。余計な詮索が避けられる。気楽でいいじゃないか。」


 「では、そのように。」


 「ちなみに、活計(たつき)はどのように立てるんだい。」


 「実は自分は帝の側と内通しておりまして、謀叛人を暗殺したのもその一環でして。たんまり褒賞をせしめました。一生遊んで暮らせる額です。」


 またしても彼女はけたけた笑った。

 「けちの父上からそんなに毟り取ったのか。やっぱりお前は最高だよ。」


 「ついでに、娘をやるとも約束をいただきました。」


 「先にそれを言え。この先のお前との関係を寝ずに思い悩んでいた私が馬鹿みたいじゃないか。」



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