女子と相席!?
ムーンバックスカフェ内は穏やかさを保ちつつ、どこか華やかな活気に満ちていた。
年配の人は今ほとんどいない。夕方の時間帯だからなのか、俺みたいな学生服を着たままか、私服姿の同い年くらいの男子女子が多い。
友達同士でこのカフェに来ているみたいで、近くの者同士で楽しげに話している。
つまり、ぼっちの俺にはすごい緊張する!!
ゴクリと喉がなった。周囲の笑い声が聞こえるたび、頬がビクッとひきつってしまう。自分が笑われていると思ってしまって。
な、仲間がいるなんて卑怯だぞ!!
と、訳のわからん理由を頭で主張してしまう。
て、てか俺な、何するんだっけ!?
ムーンバックスカフェの、イケてる和やかな雰囲気に飲まれ頭が真っ白だった。だからスマホに頼るしかなかった。いや、正確に言うなら『マッチングゥ』に。
『エスプレッソラテを注文※頼めるよね?』
『サイズはTALL※読めるよね?』
『店内の席で飲むこと※探せますよね?』
は、腹立つ!!
煽りの文面にイラつきながらも、やるべきことを再確認できた。じゃあ次は、
俺は店内を見渡し、レジカウンターを見つける。
可愛いくて、俺より年上っぽい女性が接客をこなしていた。とても絵になる笑顔で。
注文のハードル高えっ!! ちゃんと話せる!? って、で、で、出来るに決まってるし!! な、なめんなよ! マッチングゥ!!
と、内心思いながらも、スマホを両手でぎゅっと握りしめていた。そのまま、早足でレジカウンターに向かう。
マッチングゥの通りに! マッチングゥの通りに! マッチングゥの、
「いらっしゃいませ♪ ご注文は何になさいますか??」
「ひっ!?!? あっ、えっ、そ、その」
可愛い女性店員さんにテンパる。想定内だ、でも無理。というか、動悸、息切れのレベル。求心を注文してしまいそうだが、ここは薬局じゃない。
スマホの画面を凝視するしかなかった、そして、
「エスプレッソラテ! TALL! 店内!!」
早口でこれが限界だった。だけど、店員のお姉さんは優しかった。
「はい♪ お会計は550円です」
「ひゃ、ひゃい!」
とても映えるスマイルの女性店員さんが怖かった。
あとでバイト仲間に、俺みたいな変わった奴がいたって笑い話にされるのかな………、はぁ………。
数分の待ち時間の間、被害妄想にふけりつつ、なんとか目的の品をゲットできたことにホッとする。でも、周囲を見渡して焦りが込み上げてくる。
せ、席がなくね?
店内を少しうろうろするも状況は変わらない。焦りが高まっていく。
ちら、ちら。
っと、俺へ視線を向ける、同い年くらいの男女。そりゃあ、おどおどしてる俺は目につくよな!?!? まじ、どうしよう!? す、座るとこ、ど、どこか座るとこ!!
どこの席も埋まっている。私服同士、同じ学校の制服同士のグループとかで。俺もどこかのグループに入るってか、む、無理に決まってんだろ!? 俺みたいな、ぼっちの漂流者が入れるとこなんてーーー、
ふと、目があった。1人の女子と。
眼鏡をかけた、物静かそうな雰囲気で。
俺と同じ制服。
1人身の彼女は、俺に気づくとわ両手で持っていた本を小さなテーブルにおいた。少し周囲を伺い、もう一度俺を見て来た。なにやら考えてる顔つきのあと、俺に向かって控えめに、でも、小さく、
「て、手招きだと………!?」
俺は目を見張る。だって、初対面の女子で、なおかつ、そんな手招きなんてされたことなかったから。でも、眼鏡の彼女はまた、俺へ、小さく、手を動かす。招くように。
いっ、行くしかないのか!?
どこも座る席なんてないのだ。
俺は藁にもすがる思いで、眼鏡をかけた初対面の女子が座っているテーブルに、緊張で少し震える足で向かっていった。




