パニパニゲーム
また別の日の堕落部、僕と鶴見、志穂の3人での出来事。
「鶴見先輩、パニパニゲームしませんか?」
志穂が漫画に飽きたようだ。
パニパニゲームとは、またよく分からないゲームである。
「アタシ、パニパニゲームやらせたら最強だから!」
鶴見はパニパニゲーム最強らしいので、ルールも知っているのだろう。
「でも、パニパニゲームは3人からだからお兄ちゃんも参加ね!」
「志穂、お兄ちゃんルール知らないんだけど……」
僕は一応お伺いを立てる。
一応というくらいだ、ダメ元である。
「ルールはやってれば覚えるから大丈夫!」
志穂がそう言うなら大丈夫なのかもしれない。
そして、鶴見はとにかく早くパニパニゲームをやりたいらしい。
それは、鶴見椅子を3つ内向きに囲むように並べ始めていることからも伺える。
「分かったよ、僕もやるよ」
「じゃあ、志穂からお兄ちゃん、鶴見先輩の順番でいいかな?」
「「はーい」」
遂にパニパニゲームが始まる。
「パニ2」
志穂から謎の言葉が発せられる。
僕は思考が停止して何も出来なかった。
「天倉ぁ、『パニ2』って言われたら『パニパニ』って決まってるじゃん」
鶴見が当たり前のように言うが、僕はそんな決まりは知らない。
「じゃあもっかい志穂からね! パニ2!」
「パニパニ」
僕は言われた通りに返す。
「天倉ぁ、『パニパニ』って言ったら続けて『パニ3』か『パニ4』って知らないの?」
「知らんわ!」
鶴見がまた当たり前のように言うが、僕はそんな決まりは知らない。
「今度は天倉からでいいわね!」
次は僕から鶴見、志穂の順番らしい。
「パニ2」
「パニパニ──パニ4」
「パニパニパニパニ──パニ9」
「パニパニパニパニパニパニパニパニパニ」
僕はパニの後の数字の分だけ『パニ』を繰り返すという法則に従った。
「天倉ぁ、パニ9は最近パニックになったことを言うの分かんない??」
「分かるかよ!!」
鶴見がまたしても当たり前のように言うが、僕はそんな決まりは知らない。
「じゃあ、志穂からね!」
やはり、志穂はマイペースである。
「パニ2」
「パニパニ──パニ4」
「パニパニパニパニ──パニ9」
「お兄ちゃんの部屋に入ったら、エッチな本を見つけちゃった!」
「それはだな、僕に説明をする機会をくれないか!?」
僕は当然の反応をしたまでだ。
「天倉ぁ、最近パニックになった出来事を言われたら、『それはだな、僕に説明をする機会をくれないか!?』じゃなくて『それは大変だったね』とか慰めの言葉をかけるの常識でしょ!?」
「そんな余裕あるわけないだろぉぉ!!」
鶴見が幾度となく当たり前のように言うが、僕はそんな決まりは知らない。
知ってるわけがない。
なんで知ってると思ってるんだよ。
というか、知ってたとしても無理なものは無理なんだよ。
「ちなみに、お兄ちゃんの部屋にあったエッチな本がどんな内容かっていうと──」
僕は咄嗟にそこにあったガムテープで志穂の口を塞ぎ、その日のパニパニゲームは幕を閉じたのだった。




