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底辺女の走馬灯  作者: 人生から降りるボタン
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38)さようなら、ブラック企業

こんな会社なので、人の入れ替わりは激しかった。特に営業は人が増えては減ってを繰り返していた。


ある日、営業に柿口君という新人が入ってきた。彼は、一言で言うと仕事が全くまともに出来ない人だった。





やがて柿口君には営業は任せられないと、事務に回ってきた。私は柿口君の先輩として、業務を教える事になった。


だが、事務の業務もまともにこなせなかった。電話を受けては、普段は温厚なお客様も怒らせ、クレームに発展していた。商品の発送作業なども、何度教えても理解すら出来ない状態だった。


私は柿口君にはとにかく申込書セットの作成など、簡単な業務を任せる事にした。





徐々に、業績が悪化していった。仕事が落ち着いてきて、私はのんびり働けるな~、などと暢気に考えていた。


隣の席の先輩と談笑しながらお菓子を食べる余裕まで出来ていた。





11月頃、社長から大事な話があるからと社員全員が集められた。普段は会社に居ない外勤担当も召喚された。


そして、事業が廃止する。今後は会社を辞めるか、グループ会社に転籍するかどちらか選べ、という話をされた。





私は社長の話が長くて難しくて内容をあまり理解しておらず、ぽかーんとしていた。後ほど先輩に解説してもらい理解したが、へぇ、そうなんだーくらいのリアクションだった。


それからの会社の動きは早かった。1人ずつ、グループ会社の責任者との面談が行われた。グループ会社は都内にあった。


私は通勤時間が長くなるのは嫌だなぁと思いつつ、また新たに転職活動するのも面倒くさかったので、流れに身を任せて転籍する事にした。





意外にも、事務で転籍を選んだのは私を含めた3名だけだった。


殆どの人は、営業の責任者が新たに設立した会社に移っていった。そのまま退職していった人も沢山いた。





こうして、私の千葉での勤務は1年にも満たずに幕を閉じた。


千葉での最終出勤日は、稼働後に事務員と社長、営業の責任者とで盛大に飲み会が開かれた。


2次会のカラオケでもワインやら日本酒やらをしこたま飲まされ、次々酔い潰れていった。


私は少し気持ち悪くはなったものの、ほぼ酔わなかった。


カラオケでclassの”夏の日の1993”を熱唱したり(冬なのに)、社長に絡まれたりしつつ、一旦外の空気でも吸いに行こうかな、と思い部屋を出ると、入社して間もない頃に電話対応の研修をしてくれた部長も部屋の外でプラプラしていたので、少し2人でカラオケ屋の階段に座って話をした。


その時私は部長に恋をした。

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