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底辺女の走馬灯  作者: 人生から降りるボタン
37/50

37)ブラック企業の概念

当時、携帯はiPhone4をメインで売り込んでいた。ガラケーからスマホに移行していく過渡期だった。


私も入社した当初はまだガラケーだったが、営業部長にスマホを買わないかとしつこく営業され、スマホを自社で契約した。登録は先輩がしてくれた。一度、審査が通らなかった。携帯代を払い忘れていたのだ。


すみません、会社の数字のためにも今から払いに行ってきますと、仕事中に会社を抜け出して携帯代を払いに行き、無事審査が通った。この一件は恥ずかしかった。


兄も私の会社でスマホを契約した。兄の担当になったのは私が面接を受けた面接官である営業マンだった。兄はその人の名刺の渡し方が酷かった、と怒っていた。





スマホは売れに売れ、多忙を極めていた。長時間労働の理由が段々と分かってきた。


やってもやっても終わらない。自分の作業に集中したいのに、入電も止まらない。


軽く事務所はパニックだった。


20時に退勤出来たのは最初の3か月の新人期間だけで、それ以降は21時や22時退勤が当たり前になった。





事務は忙しかったがとにかく各自が業務に集中し、ある意味平和と言えば平和だった。


だが、営業は常に戦場だった。常に責任者からは怒号が飛び交い、ホワイトボードをバンバン叩く音が鳴り響いた。会社のホワイトボードは全て足が折れて傾いていた。ホワイトボードは書くものではなく叩くものとして私は認識した。





内勤の営業は、各自試行錯誤して数字を積み上げようととにかく必死だった。


責任者が怒鳴り散らす声が電話口から聞こえないよう、机の下に潜って会話をする者や、トークに集中するために机にうつ伏せになって会話をする者、中にはとにかくテンションを上げるために机の上に立ってミュージカルさながら、身振り手振り言葉に感情を乗せて営業していた者も居た。


さすがにそれは嘘では、と思われるかもしれないが、本当にあった怖い話である。


数字さえ積めば何をやっても良い(法律の範囲内で)という社風で、体育会系を通り越してジャングルに近かった。





私は、業務効率の悪さに苛立っていた。


まず、在庫管理がずさんだった。ここにあるはずの端末が無い、という事がよく起こり、タイムロスが発生していた。9割は審査登録後に郵送対応をしていたため、配送業者の集荷時間というリミットもあり、時間との勝負だった。


私は自分の業務がスムーズに進むよう、商品棚の整理を徹底的に行った。膨大な量だったため、何日も掛けて終電である24時半まで会社に残って作業していた。





残業とは関係ないが、一度だけ休日出勤をした事もある。その週は14連勤となった。


基本土日祝休みなのだが、その週はうっかり日曜に目覚ましをかけ忘れて遅刻した。流石に休日出勤だったので怒られはしなかった。





現在の社会は労働基準法にだいぶ厳しくなってきたが、当時私の会社は打刻システムは採用しておらず、出勤したかどうかだけを管理していた。


残業時間はみなし残業に含まれている、という理論で、いくら残業した所で残業代は1円も出なかった。

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