骸の龍
サザンカ軍及び聖騎士軍は混乱状態に陥っていた。
突如天より舞い降りた3匹の化け物、骨の龍が彼らを襲ったのである。
その異常な強さは、膠着状態となっていた悪魔信仰者との戦況を一気に傾かせた。
兵士や聖騎士に悪魔信仰者の刀による攻撃が襲いかかる。
それを防げば、次に死の騎士の重い剣撃が降りかかる。
さらにそこは加わった骸龍のブレスは、その前の攻撃を防いでいた者たちをいとも簡単に焼き殺してしまう。
サザンカ軍、聖騎士軍は僅か2分で撤退を余儀なくされた。
散り散りになり逃走する兵士と聖騎士、それを仕留めるべく悪魔信仰者等は追いかける。
そして今、1人の下級生騎士が骸龍の爪に切り裂かれようとしている。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
自身の背に迫る巨大な爪、彼は死の恐怖に囚われ、その足を止めひたすら叫んでいる。
誰もが目を背けた……彼は助からない……。
ギィィィィン
重い金属音、それとともに骸の爪は進むのを止めた。
爪を受け止める鋼、聖剣を持つその白髪の男は力一杯にその爪を弾く。
白髪は、その強く美しい色から老齢によるものでないことが一目でわかる。
「総帥……。」
その光景を目にした兵士たちは皆同じことを呟く。
「待たせたな!」
彼、ザクス=シルヴィスの出現は全兵の士気を再び高めた。
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遠くからでも煙が上がっているのが確認できた。
そして、何かが起こっているのだと。
レミーナたちは馬を走らせる。
ゲツヤの指示通り、安全な裏道から街を目指していたレミーナとアティスはようやく見えた街の異変に気付き、急いだ。
そして1時間がたった。
ようやく到着したサザンカ裏門、そこから分かったことは正門付近で戦闘行為が行われているということであった。
「何が起こってるの!?」
「サザンカに攻めてくるニャんて、よっぽどバカかよっぽど強いかどっちかしかニャいニャ!」
「はい……。」
不安をあらわにするレミーナ、それを掻き消すべく……
「とにかく!レミーナ姉ちゃん、急ぐニャ!」
アティスの判断に沿って、彼女たちはサザンカ正門を目指し走り出した。
少しずつ近づいてきた正門、レミーナたちの目にした光景は想像を絶するものであった。
「え!?あれって骸龍……!」
「それもだけど、あの白いローブ集団は……悪魔信仰者かニャ!?」
彼女たちの目にした光景は、伝説クラスの怪物である生ける屍の龍、それを使役する悪名高い宗教団体、そしてそれに必死に抗う兵士と聖騎士たちの姿であった……。




