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華那……たった十円の奇跡  作者: 梓理(あずおさ)
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第四十四章 生活のリズム

 美華を定期利用保育室に預かってもらえるまでの一週間、昼間は美華をおんぶして街の中を自転車で走り回った。美華は自転車に取り付けてある子供用ベンチに乗せるにはまだ早い。自転車で走って見ると行動半径が広くなり、蒲田駅前の区役所にも直ぐに行けた。スーパーは元住んでいた地元に比べてどこも値段が安い。1.5キロメートルほど東に行くと美しい海浜公園があった。しばらくぶりに美華と一緒に海を見て過ごした。駅前の区役所から少し南に行くと大きな駅前図書館があった。

「近くに色々な施設がまとまってて便利がいいとこだなぁ」

 華那は過ごしやすい街に引っ越してきて良かったと思った。


 夜は美華を寝かし付けてから予定通りハンバーガー屋にアルバイトにでかけた。最初の日だけ落ち着かなかったが少しずつ生活のリズムが整ってくるように思えた。洗濯機や冷蔵庫、掃除機はまだない。不便だが買えないから仕方がない。なので傷みやすい食料品はその日に使う分だけにした。掃除は狭いから箒で十分だし洗濯は手洗いした。美華ははいはいを始めてからパンツタイプの紙おむつにしたが、三日で千円くらいかかるからおむつ代は大きな負担だ。


 夜アルバイトに出かけて、四日間は何事もなく夜の一時半に帰宅した時美華はすやすやと眠っていて問題はなかったが、五日目の夜ドアの外から美華の泣き声が聞こえた。ドアを開け電灯を点けるとすぐ前に美華がママ、ママと泣きじゃくる姿があった。華那は息が止まるのではないかと思うほどで、美華を抱きかかえると、

「ごめんね、ごめんね」

 と自分も泣いてしまった。

「どうしよう。アルバイトは無理かなぁ」

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