47.墓参り
尊音に少し出かけてくると連絡を入れ、締め出されたまま車に乗った。
また墓地に行き、結楽の墓の前に着くと途中で買った酒を墓の前に置く。
「曄雅まだ飲んだことないんだって。あの時飲ませりゃよかったね」
「生真面目君だからさ」
薄く透けた体のまま墓石の上に座った結楽を見上げ、微かに目を細めた。
「久しぶり」
「おひさ〜。優羽に久しぶりって言う日が来るとはね」
「考えたくもない」
あの時から全く姿の変わっていない結楽は酒に手を伸ばし、それを持ち上げた。
酒は動いていないはずなのに、結楽の手には酒瓶。
「懐かしい」
「相変わらず変な感覚だね」
「女神様が死んでるからさ。生き返る頃には優羽もこっちに来てるよ」
二人で二つになった酒を開け、同じ杯に注いだ。
墓から降りた結楽は優羽の隣に立ち、同じ杯を取るとそれも二つに。
同じ時間を、別の空間で。
「曄雅の誕生日だ。……連れてきてほしかったんだけど」
「泣くよ」
「泣き虫だもんね」
「まぁ根は弱いねー」
「今も仮面は健在?」
「ひび割れ始めてる。立ってるのがやっとだよ」
「死ぬまで支えてあげたかったんだけど」
「守護霊にでもなっといて」
「そーする」
二人で小さく笑い、杯を空へ掲げた。
傷は恥だが原動力に。死んで一興死んでも笑え。死んで泣くなら非なる友
「僕らの友に」
二人で杯を口に付けると空を仰いだ。
雲ひとつない綺麗な快晴。
あの日がこんな空なら、どれだけ清々しかったか。
「曄雅におめでとって言っといて」
「夢に出たら?」
「あいつ夢見ないんだよ?」
「結楽が出るなら見るよ。曄雅だもん」
「……そっか」
一つに戻った酒瓶を閉め、優羽は結楽と少し話す。
「……実際僕が界魔になったのかは分からない。同じ世界に存在する人と人ならざるものは全部創造神の絵空事らしい」
「ふーん?」
「基準となる世界は僕らの世界から界魔を取り除いたような、こういう問題は何もない世界。その世界のコピーに、ここには界魔、もう一つには妖怪を創り上げた。……基準となる世界とは全く別の世界もね」
「人の死を司る女神様が死に、女神様の使用人達が死の女神復活のために世界を跨いで力を集めてる。……で、未優ちゃんにそれが入ってるってこと」
「そーゆー事。……別に曄雅が拒否するような事じゃないから大丈夫だと思うけど。もし渋るようならちゃんと説得してよ、始まりの末裔君」
「はいはい」




