私はちゃんと尊敬してるよ
「美智果、明日はお祖母ちゃんの家に行くぞ」
昨日パパが、またまたいきなりそう言った。お祖母ちゃんの方の都合がついたからなんだって。
だから今日は、お祖母ちゃんの家に行く。
「ヒャッハーッ! お祖母ちゃん、お祖母ちゃん…っ!」
私は、お祖母ちゃんのことも好きだ。友達と同じくらいだから、もう順番とか付けられないけどね。
でも実は、パパはお祖母ちゃんのことを、私がお祖母ちゃんのことが好きなほどには好きじゃないことも知ってる。ホントのお祖父ちゃんのことでいろいろ大変だったらしいから。
だけどね、そういうことはもういいんだっていう風にも思ってるんだって。
という訳でまた、電車に乗る。今日もまた大人の情けない姿が見られるけど、あんまり気にしない。子供にそんな風に見られてることも気付かない大人なんて、どうせ一生直らないだろうからさ。
やっぱり空いてる方の区間快速ってのに乗って、焦らずに行く。私はお父さんの体にぴったりとくっつきながらゲームをする。お父さんはパソコンで仕事してる。普段はいっぱいお話ししてるから、こういう時はそんなにお話ししなくても大丈夫。それに、甘えたくなったら「パパ~♡」って私が勝手に甘えたらパパは好きにさせてくれるし。
でもさ、私とパパって<友達>じゃないんだよ。パパはパパだよ。<友達親子>っていうのもいるらしいけど、パパはそういうの好きじゃないんだってさ。だって、立場が対等じゃないし。
親は<保護者>だからね。子供を保護して養育する義務があるんだからね。友達にはそんなのないもん。
パパが言ってた。
「美智果、<国民の三大義務>って知ってるか?
<勤労の義務>と<納税の義務>と<子供に教育を受けさせる義務>なんだ。だから、<義務教育>っていうのを、<子供が学校に通う義務>だと勘違いしてる人もいるらしいけど、正しくは、<保護者が子供を学校に通わせる義務>なんだ」
って、前にもしたかな、この話。でもとにかく、
「そういう義務がある限り、親子は<友達>じゃない」
とも言ってたよ。だから私にとってパパはパパなんだ。友達じゃないんだ。
それにさ、パパはすごいんだよ? ちゃ~んとお仕事もして私のことを養ってくれてるの。もうそれだけでも<友達>じゃないよね。人としては対等かも知れないけど、私とパパの立場は対等じゃない。それも分かってる。だからパパのことを尊敬してる。私にはできないことをしてるんだもん。
私を守ってくれてるもん。
すごくだらしなくてイケてなくてダメダメなパパだけど、私はちゃんと尊敬してるよ。




