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ママがホントにいたんだっていうのを

な~んていろいろ雑念を巡らせながら歩くと霊園の入り口に着いた。そのすぐ前にあったお花屋さんでお供え物の花を買って、霊園に入る。う~ん、ボロイ商売だなあ。


と、入った途端に目の前にすごい急な坂が。山の斜面を真っ直ぐに上るように作った道で、普通はお参りに来た人しか通らないからこれでいいんだろうけど、毎度毎度『ありえなくない!?』って思わされるな~。


パパが言ってた。


「お墓を建てる時とかに、墓石を運搬するトラックを入れたりするから階段にしなかったみたいだけど、これ、昔の非力な軽自動車とかだったら、バックでないと上れないやつだよなあ」


って。自動車のバックって、スピードは出ない代わりに馬力はあるんだって。自動車のことはあまり興味ないからよく分かんないけど。


でもとにかくここを上らないとママのところには行けないから、いや、実は裏の方に別の緩い道があるらしいんだけどそっちはそっちですごく遠回りになるからいつもこっちを通るんだ。


だけど、つ、ツラい……ママに会うためじゃなかったら絶対に通らない道だ。まあ、一回くらいは『なにこれ!? おもしれ~!』とか言って上っちゃったりするけど、やってみて後悔するやつだと思う。


長さで言ったら百メートルもないかもな道を歩くだけで、ここまでくるまでよりずっと体力を消耗した気がする。


それでも何とか上り切ってママのお墓の前まで来た。


「ママ…こんにちは……」


そう言って手を合わせると、なんだかあの坂を上った疲れが吹っ飛ぶ気がする。ママに会えたからかな。


……ママじゃないけどさ。


でも、ママなんだ。ママじゃないけどママなんだ。お墓ってそういうもんだってパパも言ってた。『ここに来れば会える』っていうための目印なんだって。


そうだね。ここにママが眠ってるって言われてもホントにそう思えるわけじゃない。ここに入ってるのはママの骨だけだから。話もできないし抱いてくれないし頭も撫でてくれないしさ……


だけどなんか安心するんだよね。不思議。ママがちゃんといたんだっていう証拠の一つだからかな。


時々思うんだ。ママなんてホントは最初からいなかったんじゃないかって……


もちろんそんなことないのは分かってるよ? パパだけで私が生まれる訳ないのも分かってる。だけどさ、だんだん、ママの記憶が薄れていくのも感じるんだ……


って言うか、ぼんやりとしてても確かに記憶はあるんだけど、現実感がないって言うか……


だからこうやって、ママがホントにいたんだっていうのを確かめる感じなのかな~って思ったりはするんだ。



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