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012 ドキっ! えっ!? 私とマスターの二人だけで防衛ですか!? もう、ちゃんとヘッドショット決めて下さいね!

「こちら武上、αチーム、状況を開始する」


「こちら熱田、βチームも状況開始だ!」


 武上隊長と熱田さんから続けて通信が入る。 僕は返信した後、ビークルへと連絡を入れる。


「ビークル、飛行ドローン7機飛ばしてくれ」


「ビークル、了解」


 来栖の後輩の花里さんが答える。 直後にドローンが一斉に空へと駆け上がる。


「上手くいってくれよ……」


 僕は後方の高台で陣取りながらドローン達を見送った。


 入管局の部隊は機動力が高い。ドローンによる牽制で少しでも足を止めておきたいところだ。


 ドローンが自陣の半分を過ぎるあたりで備えていたタンクを切り離し、水を地面にぶち撒ける。 少しでもぬかるみを作り、相手の機動力を奪うためだ。


「おいおい、派手にやるなー。後で雨宮さんにドヤされても知らんぞ」


 武上隊長から茶化した通信が入る。


「ハハ、その時は助けて下さい」


「俺まで睨まれるのは勘弁だな。 ……よし、ドローンの通過を確認! 敵陣に進行する!」


「了解です。よろしく頼みます!」


 武上隊長達が移動を開始したと同時に、一機のドローンを自陣に待機させて、6機のドローンが敵陣に入り込んだ。 こちらの動きを見計らってか、敵陣からも2機の飛行ドローンが発進された。


「壱与、射程に入ってきたら撃つ。サポート頼むぞ」


「了解です、マスター」


 壱与の返事を確認して、スナイパーライフルを構える。風はあまりなさそうだな。


「マスター、風速軽微、影響無しです。 ドローンの予測軌道変化無し」


「了解だ、壱与」


 指をギリギリまで引き金にかけて、ゴーグル越しにスコープを覗き込み照準を合わせる。


 カンッ!


 模擬弾ではあるが、疑似的な反動が伝わってくる。


「目標撃墜です、マスター!」


「よし、調子は悪くないな」


 続けて壱与のサポートを受けながら、もう一機のドローンも撃ち落とす。自陣に侵入して即撃墜しているので、索敵情報はほぼフィードバックされていないはずだ。


「ふぅ」


 ゴーグルをずらし、汗を拭う。 久しぶりだと集中力の持続がしんどいな……。


 水筒を開け、喉を潤わせながら自軍のドローンを確認する。 敵陣に入った6機のうち、4機が落とされていた。


「相手のスナイパーは2人のようだな」


 すかさず、ビークルにいる来栖に通信を入れる。


「ビークル、スナイパーの位置は割り出せるか?」


「こちらビークル、現在、弾道計算しているわ!」


 最後の2機のドローンはマニュアルに切り替え操縦している。不規則な軌道で粘り、敵陣300メートルまで食い込み撃墜された。


「こちらビークル、スナイパー確認出来たわ! 位置情報送るわね!」


 来栖がどうやら頑張ってくれたようだ。 ドローン6機を使って相手のスナイパーを炙り出せた。今のところ順調だな。


「αチーム、βチーム、敵スナイパーの位置確認! 優先して排除して下さい!」


 両チームからの返信を確認すると、隣で壱与が反応する。


「マスター、対象3、自陣に侵入。 そのうち2機は、ハウンドドローンですね」


 ドローン7機飛ばしたのが効いてるかな? おそらく、斥候が慌てて先行してきたのだろう。


「了解だ。迎撃する」


 正面やや右の方向から、コンテナを伝い、自陣に侵入してくる動きを捉えた。 高台から約400メートル。風が無ければいけるな。


 滞空中のドローンの索敵と壱与の行動予測のサポートで、コンテナから出てきたハウンドドローンを一機撃破する。


「やりました! マスター!」


「ああ……残りはコンテナから動かないか……」


 少しの硬直状態が続き、僅かに焦れる。 集中力の維持が狙撃手の辛いところだな……。


「マスター! 動きます、二方向! 右が対象です!」


 防護壁の左右から同時に対象が飛び出してきた。ハウンドドローンは無視する。 右の敵隊員に狙いを定める。 スコープの補正が捉えた動きに合わせて、ゆっくりと指を引き金に押し込む。


 敵隊員の頭部に命中し、ゴーグルの表示にバツ印がついた。


「おお! ヘッドショット決まりました! 一撃ですね、マスター!」


「ああ、上手くいって良かったよ」


 ふぅ、流石に神経をすり減らすな……。 一瞬だけ力を抜き、また集中し直す。


 先程すり抜けたハウンドはぬかるみに足を取られて、まだ余裕のある位置だ。


 また狙いを定めて指を引くが、目標から外れてしまう。 対象が急にぬかるみに足を取られた分、予測からズレてしまった。


「マスター……」


 壱与がジト目で見てくる。


「この距離で百発百中は無理だ。 無茶言わないでくれ、壱与」


 再度、ライフルを構え直す。いい加減、肩にズシリと感じる重さが蓄積してくる……。


「当たってくれよ……」


 僕は気持ちを切り替えて、再度引き金へと指をかけるのだった……。


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