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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
二章

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85 少女の正体

前話のおはなし:ルーベウムの卵殻から少女が生まれた。


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 途端に、弟子たちは一斉に跪いた。

 レジーナは俺をひざからどかして、椅子から降りて跪く。

 まさに流れるような動きで、非常に素早い動きだった。

 さすがは勇者。何をやらせても動きが早い。


「人神の声は、みんなにも聞こえてるみたいだね」

『すぐ近くにいるならば、聞こえるようにすることもできるわ』

「そうなのか。便利だね」

『ウィルちゃんの弟子だから、聞かせた方がいいかと思って』

「うん、助かる」

 後で説明する必要がなくなるので、面倒がない。


「えっと、連絡手段としてこの子を遣わしたってことでいいんだよね?」

『そうね。まずはこの子のことを説明するわね』


 やはり小さな少女は、人神の神霊らしい。

 神々の使徒であり、人神の眷族でもある俺とは魔力的な相性がいいのだそうだ。


『だからこの子に魔力供給お願いね』

「わかった」

『不足時に逆に供給してもらうこともできると思うわ』


 ちなみに人神が会話している間、少女にはほとんど意識はないらしい。

 神おろしの巫女のようなものなのだろう。

 とはいえ、うっすらと夢の中の出来事のように記憶してはいるとのことだ。


「なんでこの子は自分が何者かわからなかったんだ?」

『生まれたばっかりだからよ。ウィルちゃんもわからなかったでしょう?』


 俺が前世の記憶を取り戻したのは八歳の誕生日だった。

 人神が言うには、神霊なので記憶を取り戻すのは俺よりも早いだろうとのことだ。


『記憶を取り戻したとしても、大した記憶はないのだけど。生まれたばかりだし』

「そうなのか。で、何か注意事項みたいなのはあるの?」

『そうね、神おろしはかなり魔力を使うわ。だからこの後、魔力供給お願いね』

「供給の仕方は?」

『えいってやっちゃって。本能に従えば問題なくできるはずよ』

「それならいいんだけど」

『ここからが本当の注意事項なのだけどこちらも非常に疲れるし、その子の負担も大きいの』

「つまり、重大な要件以外では呼び出すなってことかな?」

『察しが良くて助かるわ。一度神おろしした後は一定期間を開けないと難しいわ』

「一定期間っていうと?」

『それはウィルちゃんと、その子次第ね。今なら……最低でも一か月かしら』


 俺と少女の力量が上がれば期間は短くなるのだろう。


『ウィルちゃん、頑張ってるみたいね。私も嬉しいわ』

「それはどうもありがと」

『寂しいけど、これ以上話していると、その子の負担が大きくなりすぎるわ』

「あっと、立ち去る前にこの子の名前を教えてくれ」

『名前はないの。ウィルちゃんがつけてあげて』

「……わかった」


 そして、人神の気配が消えた。

 少女はぱたりとテーブルの上に突っ伏した。


「確か魔力供給が必要なんだったね」

 俺は少女を両手で包むようにして持ち上げる。


「人神は、えいってやれって言ったけど……」

 魔力の流れを意識して流し込めばいいのかもしれない。


 俺は慎重に少女に魔力を流し込む。

 まるで自分の体の一部のように、すんなりと流れていく。


「なるほど。本能に従えっていうのはこういうことか」

 難しいことは何もなかった。

 魔力を流すと、少女はパチリと目を開けた。


「大丈夫? 気分悪かったりしない?」

「大丈夫だけど……。なんかすごく疲れた」

「それはお疲れさま」

「……なんでおじさんとお姉ちゃんたちはしゃがんでるの?」

 跪いたままの弟子たちを見て少女は首を傾げた。


「人神が降臨していたからね。もう立っていいと思うよ」

 俺の言葉で立ち上がる弟子たちを見ながら、少女がつぶやくように言う。


「そっか。あれは夢じゃなかったんだ」

「人神降臨中の記憶はどのくらいあるの?」

「夢の中の記憶みたいなぼんやりしたものだけどあるよ」


 人神が言っていた通りだ。

 現実感はないが覚えていないこともない。そんな感じなのだろう。


「そっか、何か聞きたいことはある?」

「ウィルが誰か教えて欲しいかな」

「名前は知っているんだね」

「ぼくの身体に入っていた神様が呼んでいたことを、おぼろげにだけど覚えているから」

 そして少女は俺の弟子たちを見る。


「あとおじさんとお姉ちゃんたちのことも教えて」

「わかった」


 俺は自分のことを簡単に説明する。

 前世のことや神の世界で修業したことも教えておく。


「目的は厄災の獣、テイネブリスを討伐することだ」

「わざわざそのために転生したんだ。偉いね」


 少女は皮肉ではなく、本心からそう言っているように見えた。

 それから、俺はシロやフルフル、ルーベウムのことも紹介する。


「ほかに、俺の妹のサリアと犬の神獣ルンルンもいるから後で紹介するね」

「楽しみ」


 俺の自己紹介が終わると、弟子たちも自己紹介を始める。


「おじさんたちは、すごいお爺ちゃんとお婆ちゃんだったんだね!」

「お、お爺ちゃん」


 高齢者扱いに、一番ショックを受けていたのは意外にもディオンだった。

 レジーナとゼノビアは「そうだ、高齢者だから労われ」とか言っている。

 ミルトは外見がもう六十台なので、慣れているのか平然としていた。


「あとで、俺のパーティーメンバーも紹介しよう」

「わかった。お願い」

 一応、アルティ以外には前世のことは秘密とは伝えておく。


「あと、何か聞きたいことは?」

「ぼくの名前は何にするの?」

「……えっと」


 ものすごく難しい問題だ。

 俺はしばらく頭を抱えた。

これで二章は終わりとなります。ありがとうございました。

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