82 弟子たちとの会合その2
前回のおはなし:ディオンにルーベウムを拾った時のことを聞いた。
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俺と出会った時、レジーナは俺を本当に転生者かすごく疑っていた。
それは当然の態度と言える。
だが、ディオンはすぐに信じてくれた。
竜人族の勘とか言っていたが、本当はルーベウムと出会っていたからだろう。
そう思ったのだが、ディオンはさらに続ける。
「もちろん、私が信用した理由は、それだけではないのですが……」
「というと?」
「ルーベウムを、そのまま師匠に会わせようと考えたのですが、その場で神託がありまして」
「竜神の神託?」
「はい」
「内容を聞いてもいいか?」
神託は神から直接賜った言葉。
竜神の神官でもあるディオンにとっては、軽々しく口にできない言葉かもしれない。
そう思って、聞いてみたのだが、ディオンは笑顔でうなずいた。
「もちろんです。竜神さまの神託の内容は……」
その竜は我が子、我が使徒である。
我が子をそなたの師であるウィル・ヴォルムスに会わせるように。
その際、我が子とウィルが一対一で戦える環境を整えろ。
我が子のことは、ウィルと出会うまで存在を隠すように。
「という四点ですね」
「なるほどなー」
神が地上に向けて神託を下せるのなら、俺にも色々教えてくれてもいいのに。
そんなことを考えた。
もしかしたら神託を受け取るコツみたいなものがあるのかもしれない。
あとで、ディオンに聞いてみなければなるまい。
「だから、おれにもルーベウムのことを隠してたのか?」
レジーナは少し不満気に見えた。
自分の知らない敵をダンジョン内に配置されたのだ。
今回の試練マスターとしては面白くないのは当然だろう。
「すみません。レジーナ。ですが竜神さまの神託だったのですよ」
ディオンは頭を下げた。ディオンの頭の上に乗っていたシロが器用にバランスを取り直す。
「竜神の神託なら仕方ないけど……」
「ありがとうございます」
「まあ、最後の師匠向けの部屋については、任せて欲しいって言われてたからいいんだけど」
「それでも勝手に敵を配置、しかもかなり強力な敵を配置されれば面白くないでしょう」
ディオンはもう一度深々とレジーナに頭を下げた。シロは嬉しそうにバランスをとっている。
「迷惑をかけました」
「ま。いいけどね。ディオンも師匠のためを思っての行動だったわけだし」
「そう言ってくれると助かります」
「どうせ、おれは時間をつぶしてもらうだけの予定だったから」
ルーベウムについて話し終わると、次はロゼッタの試練の話になる。
「レジーナ自ら試練したらしいね。それとディオン」
「はい。最終的には自分で確かめたいので」
レジーナの気持ちは、とてもよくわかる。
とはいえ、俺自身は弟子をとる際に試練を課したことは無い。
俺の場合、弟子をとるというより、養子をもらうという感覚だったからだ。
結果的に、子供たちが才能を発揮し、とてつもなく強くなったというだけである。
「私は、レジーナが手加減をミスしたときのために参加させていただきました」
「そうそう。ディオンがいてくれると、死んでなければ何とかなるからね」
「ですから、私はなるべく手を出さないようにはしたつもりです」
「でも、アルティとかティーナとか、ディオンを狙おうとしていたんだよねー」
そう言って、レジーナは考え込んで首をかしげる。
レジーナの頭の上に乗っているフルフルも一緒に傾いて、プルプルした。
「後衛からつぶすのは基本だから、正しい判断かもしれないね」
「師匠の言う通りです。普段からそう教えていますから」
どこか自慢げにそう言ったのはゼノビアだ。
最近、ゼノビアはアルティとティーナを指導している。
「ゼノビア。我が弟子のティーナへの指導、感謝いたします」
「いやいや、ティーナも大切な我が生徒だからな。気にしないでほしい」
それから俺はレジーナにロゼッタたちの評価を尋ねた。
するとレジーナは真面目な顔で言う。
「みんな優秀な者たちだったと思うかなー」
「ロゼッタはどうだった?」
「はい。判断が的確だし、恐れながらもひるみが少ないから……」
「なるほど」
「師匠はどう思ってます? 一緒に戦ったりしたんでしょ?」
「俺もロゼッタは優秀だと思うよ」
「やっぱりー」
「でも、自信がないみたいだから……」
「わかりました! おれに任せておいてください」
レジーナは自信ありげだ。
ならば、ロゼッタの自信については、師匠となるレジーナに任せればいいだろう。
それからレジーナから試練自体の評価を尋ねられた。
「いい試練だったと思うよ。心理の隙をつくいい罠が多かった」
「師匠に褒められると、照れるね!」
一通り話し終えたころ、ルーベウムは俺のひざの上でウトウトしていた。
赤ちゃんだからたくさん睡眠をとらないといけないのだろう。
その意味では、シロも同じだ。
ルーベウムよりは数週ほど年上だが、シロも充分赤ちゃんと言っていい。
「シロは眠たくないの?」
「めぇ?」
シロはとても元気だ。眠そうじゃない。ディオンの頭の上で楽しそうだ。
俺は眠りかけているルーベウムを寝かしつけるように優しく撫でる。
「そうだ。ディオン。竜を育てるのに注意しないといけないこととかある?」
「そうですね。特にないかと。竜は人族よりも、はるかに丈夫ですから」
「それなら安心だ。食べ物の注意点はある?」
「人族が食べれるものなら何でも。多少の毒なら効きません」
随分と心強い話だ。
そして、俺には忘れずに聞かないといけないことがもう一つあった。





