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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
二章

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75 竜との戦い

前回のおはなし:転移した先には竜がいた。

 竜はゴロゴロと壁まで、咆哮しながら転がった。

「グラララアアアアァァ」


 俺は竜を追撃するために間合いを詰める。

 地面に這いつくばりながら、竜はブレスを放つ。相変わらず威力が高い。

 だが、俺は速度を緩めない。

 左手に魔力をまとわせて、ブレスを切り裂きながら走る。


 そして、もう一度、俺は竜の顔を右手で殴りつけようとした。

 竜は左手で、俺の拳を受けとめる。


「見事だ」

「ぐるるる」


 褒めると、竜は嬉しそうに鳴く。

 そして至近距離から、強烈な火炎ブレス。

 同時に俺の拳を掴んで固定したまま、体をひねって尻尾を薙ぎ払う。


「うぉ!」

 火炎ブレスを防ぐために張った魔力の障壁。

 その障壁の薄い部分、横合いを強力な尻尾で殴りつけられたのだ。


 しかも耐ブレスのための魔法防御に強い障壁に強烈な物理攻撃。

 たまらず俺の魔力障壁が砕け散る。


 即座に俺の全身が炎に包まれたところに、尻尾の打撃。

 俺は吹っ飛ばされて、壁に激突した。

 そして周囲は暗闇に包まれる。


「……うぃる。ツヨカッた。デモシンだ」

 竜がぼそりと、どこか寂しそうにつぶやいた。


「お褒めの言葉ありがとう。だが、まだ死んでないよ?」

「……ナゼ?」

「魔力で体自体を覆っているからね。多少のブレスや打撃は大丈夫なんだ」


 長い間は持たなくとも、短期間なら障壁なしでも耐えられる。

 だが、服は一瞬で全て燃え尽きた。

 俺に残されたのは、抜身の短剣と、魔道具である魔法の鞄と通話の指輪のみだ。

 鞘が燃え尽きたせいで、魔法灯がかかった短剣が床に転がって煌々と周囲を照らす。


「靴まで燃え尽きちゃったな。今度から着替えはちゃんと用意しとこう」


 地味に一番きつかったのは、革で自作した短剣の鞘が燃え尽きたこと。

 二時間ぐらいかけて作った初めての革細工だ。思い入れが深かったのだ。

 とはいえ、仕方のないことだ。竜を恨むのは筋違いである。


「さて、決着をつけようか」

「ウム」


 それからしばらく、全裸の俺は竜と激しく戦った。

 俺は拳を使い、蹴りを繰り出し戦っていく。

 竜はブレスと尻尾、牙と爪を駆使する。


 竜の攻撃を全てしのぎながら、攻撃を加えながら、およそ五分が経った。


「そろそろ終わらせるか」


 俺は魔力の障壁で、疲労しきった竜を上から強引に押さえつけた。


「ぐるるるるる!」

 しばらく暴れたが、抜け出せないと悟ると、

「……うぃる。ワレのマケだ」

 そういって、竜は大人しくなった。


 俺も非常に疲れていたので、魔力の障壁を解除して短剣を拾うと、竜の隣に腰を下ろす。

 全裸なのでお尻がひんやりとした。


「いい戦いだったね」

「ウン」

 竜は素直にうなずいている。


「竜はどうしてここにいたんだ? レジーナに連れてこられたの?」

「リュウ、ジャナい」

 問いには答えず、竜はそう言って頭をぶるぶると震わせた。

 竜と呼ばれるのが嫌なのかもしれない。


「だが、名前がないんだろう?」

「ナマエ、ホシい」

「そうか」

「うぃる。ツケて」

「……俺でいいのか? それに名前は後でじっくりと……」

「うぃるガイイ。イマがイイ」


 そこまで言われたら、俺が自分で考えて名前を与えるべきだろう。


「うーん……」

「…………」

 竜はきらきらとした期待のこもった目で、こちらを見つめている。


 俺は竜のことを改めて眺めてみる。

 魔法灯の光に照らされて、鱗が深紅に輝いていた。


「そうだなぁ。ルーベウムとかどうだ? 気に入らなければまた考えるが……」

 深紅を意味する古代の言葉だ。


「ルーベウム! 我が名はルーベウムである!」


 そして「グラアアアアアアラアアラアア!」と大きく咆哮する。

 同時に少し魔力を吸い取られたような不思議な感覚がした。


「……よくわからんが、言葉が急に流暢になったな」


 名づけの効果にそのようなものがあるのだろうか。

 あとで調べてみようと思っていると、ルーベウムは嬉しそうに俺に鼻先をこすりつけてくる。

 そして、俺の顔をぺろぺろと舐めてきた。

 ものすごく懐いてくれている。これも名づけの効果だろうか。


「ルーベウムは甘えん坊だな」

 俺はシロやルンルンにいつもしているように、顎の下をこしょこしょしてやった。


「きゅるるるるきゅるるるる」

 ルーベウムは喉を鳴らしているのか、不思議な鳴き声を出した。

 機嫌よく尻尾を揺らしてベロベロと俺のお腹を舐めた。

 全裸なので、とてもくすぐったい。


「で、ルーベウムはどうしてここにいたの?」

「ディオンにつれてこられた」

「レジーナじゃなく、ディオンのほうだったか」

「レジーナって誰? ルーベウム知らない」

「小さくて強いドワーフだ。どういう経緯でディオンに連れてこられたのか教えて」

「……えっと」


 ルーベウムは思い出しながらゆっくりと説明してくれた。

 どうやら体は大きいのに、ルーベウムは生まれて間もないらしい。


「気付いたら、石でできた建物のなかにいた」

「そうなんだ。そこにディオンが来たの?」

「うん」

 そして、ディオンがここに連れてきてくれたらしい。


「ディオンが、ここで待っていたらウィルが来るから好きにしていいって」

「そっかー」


 あとで、ディオンに、ルーベウムをここに連れてきた経緯を詳しく聞いてみよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 竜神がやっと神獣を送ってきたんだ!!
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