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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
二章

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74/185

74 謎の敵

前回のおはなし:みんなバラバラに転移魔法陣の上にのった。


「最強の魔導士。ひざに矢をうけて~」の4巻とコミカライズ1巻が発売中です!

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 たちまちぐにゃりと視界がゆがむ。

 数瞬後、俺は別の場所に立っていた。

 相変わらず明かり一つない。自分の手も見えないほど真っ暗だ。


「転移の前にロゼッタの短剣に魔法灯(マジック・ライト)をかけてあげるべきだったかも」


 ティーナの杖とアルティの剣には魔法灯の魔法がかかっている。

 だが、ロゼッタは灯りを持たずに転移魔法陣の上に乗った。

 ロゼッタの転移先が、ここと似たような場所ならば真っ暗闇の中だ。

 暗闇の中では松明に火を灯すことさえ大変だ。


「……ロゼッタ。頑張って」


 そうつぶやきながら、俺は自分の短剣に魔法灯の魔法をかける。

 明るい光が部屋を照らす。壁も床も天井も、白くて滑らかな岩で作られている。


「意外と狭いなぁ」

 俺のいる部屋はおよそ一辺五メートル四方だった。そして高さは三メートルほど。

 そして、正面に岩で作られた扉がある。


「転移魔法陣は……。一方通行みたいだ」

 後戻りはできない仕様らしい。


 俺は罠を調べた後、扉をあける。

 すると、ものすごく広い部屋に出た。壁まで魔法灯の光が届かないほどだ。


 魔力で周囲を探索すると、広さは百メートル四方、高さは十メートルほどある。

 一体、だれが何のために作った部屋なのだろうか。


 そして、非常に探索がしにくかった。

 魔力を飛ばして反射してきたものを感知するのだが、ほとんど反射してこない。

 魔力による探索を妨害する何かがあるらしい。


「……あれはなんだろう?」


 部屋の奥。俺が入って来た扉とは逆の端の方に魔力反応があった。

 何かの生物だというのはわかるが、それ以上のことは妨害のせいでわからない。

 魔法灯の明かりも吸収されるらしく、光を強くしても届かない。


「これもレジーナの仕込みかな。手が込んでいるなぁ」


 魔力による探索が出来ないのなら、近づいて調べるしかない。

 俺は覚悟を決めて、謎の生物へ慎重に近づいていく。


 すると、闇の中から声がした。

「ココにナニシにキタ?」


 俺は足を止める。

 謎の声は片言で独特のイントネーションだった。

 だが、滑舌が良く、一語一語が明瞭で聞き取りやすいので意味は分かる。


「勇者レジーナの試練を受けるために来た」

「……ナノれ」

「ウィル・ヴォルムスだ」

「……ういる、……ぼおるむす」


 なぜか謎の声は俺の名に反応しているようだった。

 だが、正確には発音できていない。


「お前の名は?」

「……ナはナイ」

「そうか」


 それから、暗闇の中で何かが動く気配がする。

 何をしているのはかはわからない。大した隠ぺい力だ。


「……ワレ、ウィルとタタカう」

 謎の声の主はレジーナから、ここに来た奴と戦えと言われたのかもしれない。


「相手してくれるのか。ありがとう」

「ヨイ。イク」


 その瞬間、まるで謎の声の主を覆う暗闇が、巨大なスライムのようにブルブルと震える。

 そして、俺を目掛けて、暗闇の塊が槍のように突き出された。

 魔力探知の妨害のせいで、まだどんな攻撃か判然としない。

 だが、食らうべきではないというのはわかる。


 俺は後ろに跳びずさりながら、急いで松明に火を灯す。

 声の主は、魔力を吸収、もしくは妨害することで、魔力による光を消失させている。

 それにより躍動する暗闇を作り出しているのだ。


 それに対抗するには、魔法ではない、つまり物理的な灯りを用いるのが最も簡単だ。


 俺は松明を暗闇の中心に向かって放り投げる。

 灯りに照らされて、声の主の姿が見えた。


「ほう」

 それは深紅の鱗に覆われた立派な竜だった。

 二枚の大きな翼と、きれいな角、長くて太い尻尾が目を引いた。

 両手両足には立派で鋭い爪がはえている。


 頭の先から尻尾までの体長は、およそ十メートルほど。体高は三メートルほどだ。

 体の大きさは、竜族にしては際立って大きいわけではない。むしろ小さいほうだ。

 だが、まとう魔力が濃厚で、ただ者ではないとわかる。


 姿が見えたのは一瞬だ。

 竜が、俺の投げた松明を即座に踏み消したからだ。


「グルルルルル……」

 姿を見せたことが恥ずかしかったのか、竜はうなる。


 ――ゴオオオオオオオオオオオォォォ

 容赦のない火炎ブレスが放たれる。部屋全体が明るくなった。

 かなり広い部屋全体が火炎に巻かれる。かわしようがない。


 竜族はこれが怖い。数の不利を一気になくす攻撃だ。

 俺は魔力の障壁を張って身を守る。


 火炎ブレスは範囲だけでなく、威力も相当なものだ。

 俺は竜のブレスがおさまるまで耐えきった。

 ブレスをかいくぐって攻撃するより、耐えきってみせた方がいい気がしたのだ。

 賢い竜は、こちらの力を認めさせると素直になることが多いからだ。


「次はこっちからいかせてもらうよ」

「グルル!」


 魔力による探知が妨害されているとはいえ、大体の位置はわかる。

 それに竜自身の火炎ブレスに照らされた際、姿をしっかり見せてもらったばかりだ。


 俺は暗闇の中にまっすぐに突っ込んでいく。

 暗闇の中で俺目掛けて尻尾が振るわれる。かいくぐったところに竜の爪。

 それもかわして、竜の顔を拳で殴った。


 八歳の拳では、どう頑張っても威力は出ない。体重が軽すぎるからだ。

 だから魔法を使う。


 全身を魔力で強化し拳に魔力をまとわせ硬くしてから、叩きつけるようにして殴りつけた。

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