52 お茶会
前回のおはなし:剣を製作に一区切りついたので、おやつを食べに行こうとしたらロゼッタが来た。
※おしらせ:これから週五更新にする予定です。更新しない二日は「ひざに矢」「ここ俺」を更新したいと思っています。二作品もどうぞよろしくお願いいたします。
ついに「最強の魔導士。ひざに矢をうけて~」の4巻とコミカライズ1巻が発売になりました!
どうか、よろしくお願いします。
「ここは俺に任せて先に行けと~」の2巻も発売中です!
俺が扉をあけると、ロゼッタの他にティーナもいた。
「おお、ロゼッタと、ティーナか。よく来てくれた。とりあえず入ってくれ」
「ありがと!」
「おじゃまするわ」
ロゼッタが俺の部屋に入るのは二度目だ。
だが、ティーナが入るのは初めてである。
ティーナはどこか緊張しているように見えた。友達の部屋に入るのが初めてなのかも知れない。
ロゼッタとティーナが入ってくると、
「めえぇぇぇぇぇ、めええええ」
抗議するようにシロが鳴く。そしてロゼッタとティーナに交互に頭突きを繰り返す。
余程、食堂でおやつを食べたかったようだ。
抗議していてもシロの頭突きは優しい頭突きだ。
「シロちゃん歓迎してくれるの? ありがと!」
「シロちゃん、相変わらず元気なのね」
ロゼッタとティーナはシロが抗議しているとは思わなかったようだ。
シロは普段からことあるごとに、みんなに頭突きしまくっている。
抗議の頭突きと気付かれなくても仕方がない。
ロゼッタとティーナはしゃがんで、シロを撫でまくる。
「シロちゃんはかわいいねぇ」
「シロちゃん、おやつ持って来たわよ! 食べるかしら?」
「めえええ……め?」
二人に抗議の頭突きをしていたシロがおやつという言葉に反応して止まった。
短い尻尾を勢いよく振り始めた。
「ウィルさま。アルティも呼んでよいかしら」
「もちろんいいが、今アルティは部屋にいるかな」
その時、シロが開いていた扉から外に駆けだしていった。
「シロちゃん?」
「どうしたのかしら?」
ロゼッタとティーナが戸惑っていると、
――ゴンゴンゴン
「めえめえめえ」
隣の部屋、つまりアルティの部屋の扉に軽く頭突きしながら鳴き始めた。
「シ、シロ、それはダメだ。アルティに迷惑だ」
アルティは俺との激しい訓練を終えた後だ。寝ている可能性もある。
起きていたとしても、救世機関の仕事をしているかもしれない。
俺は慌ててシロを抱きかかえる。
だが、遅かったようだ。アルティが出てきた。
「……どうしましたか?」
「めえ」
シロはアルティにおやつを一緒に食べようと鳴いていたようだ。
ロゼッタがアルティを見て言う。
「アルティ、今呼びに行こうと思っていたんだ!」
「一緒にお菓子を食べたりしたいのだけど、どうかしら?」
ティーナは少し緊張しがちに、そんなことを言っている。
断られたらどうしようと思っているのかもしれない。
「誘ってくれてありがとう。ご一緒させていただきます」
「めえ!」
俺に抱えられたシロが嬉しそうに鳴いた。
そして、全員で俺の部屋に戻る。
お茶を淹れに行く前に、俺はシロを抱えてこっちを向かせる。
そして、目をしっかり見つめた。
「シロ。人の部屋の扉にドンドン頭突きしたらダメだ。寝ているかもしれないだろう?」
「……めえ」
「頭突きするなら、そっとしなさい」
「めえ」
シロはわかってくれたようだ。
「お茶を淹れてくるから、シロはフルフルと一緒に待っていなさい」
「めぇ」「ぴぎ」
俺はシロを床に置いて、キッチンへと向かう。
「お菓子は、わたくしたちが用意しておくわね!」
「ああ、ありがとう」
ティーナたちがお菓子を用意してくれるらしいので、俺はお茶を淹れるだけでいい。
こんなこともあろうかと、食堂で茶葉を分けてもらっていてよかった。
さほどお茶を淹れるのはうまくないが、八歳ということで大目に見てもらえるだろう。
こういうときは、八歳でよかったと思う。
四人分のお茶を淹れて、フルフル用の砂糖水とシロ用のミルクも準備する。
俺がお茶を持っていくと、シロはアルティに抱っこされていた。
そして、フルフルはティーナに抱っこされていた。
俺は全員にお茶を出していく。
フルフルとシロの前にも砂糖水とミルクを置いた。
ティーナとアルティはそれぞれ、砂糖水とミルクの前にフルフルとシロを置く。
「ぴぎっ」
「めえ~!」
フルフルもシロも嬉しそうに飲みだす。
シロ用のお皿は顔を深く突っ込めないよう、底の浅いものにしておいた。
「シロちゃんお菓子もあるわよ」
「めめえ!」
シロはティーナの手からお菓子も食べている。
ミルクとお菓子を交互に口にして上機嫌だ。
「シロは少し食い意地が張っているところがあるんだ」
「そうなんだね。羊たちを守ってくれてお腹空かせてたからかもしれないね」
ロゼッタがそんなことを言いながら、シロとフルフルにお菓子を食べさせる。
みんなシロにもフルフルにも甘いようだ。
適当に談笑した後、ロゼッタとティーナが互いに頷いて姿勢を正した。
「どうした、二人とも」
「ウィル、それにアルティ。お願いがあるんだ」
「どうした? とりあえず言ってくれ」
「ウィルさまとアルティは一緒に訓練しているでしょう?」
「うん。そうだね。午前中とかによく訓練している」
アルティは無言でうんうんと頷いている。
「迷惑かもだけど……、それにあたしも混ぜてもらうことってできないかな」
「わたくしもぜひ混ぜて欲しいの!」
ロゼッタとティーナは真剣な表情をしている。
「昨日の戦いでわたくしは自分の未熟さを思い知らされましたわ」
「うん。あたしも……。学院に合格して少しは出来るつもりになっていたのが恥ずかしいよ」
そしてティーナとロゼッタは改めて言う。
「お願いします。わたくしも訓練に混ぜてください」
「お願いだよ!!」
「わかった」
真剣な二人に俺はそうこたえた。
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