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【web版】八歳から始まる神々の使徒の転生生活  作者: えぞぎんぎつね
一章

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33/185

33 魔熊と羊

※※6/14改稿しました。(変更点:ロゼッタの種族、ティーナの性格と口調)

前回のおはなし:たおした熊は大きかったけど、痩せていた。


6月14日前後に「最強の魔導士。ひざに矢をうけて~」の4巻とコミカライズ1巻が発売になります!

どうか、よろしくお願いします。

「ここは俺に任せて先に行けと~」の2巻も発売中です!

 俺は巣穴に入るとすぐに自分とロゼッタに暗視(ナイトヴィジョン)の魔法をかける。


「おお、すごい! ありがとう! ウィルは器用なんだね」

「ある程度、魔法は使えるんだ」

「すごいなー」


 ロゼッタは感心したようだった。

 暗視の魔法自体はそう難しい魔法ではない。

 勇者の学院に入学出来る魔導師なら全員使える程度の魔法だ。

 だが、御曹司たちが決闘前に大声で騒いだせいで、みんな俺の守護神が一柱だと知っている。

 だからこそ、すごいと思ってくれるのだろう。


 話しながら進んでいると、あっという間に巣の最奥に到着する。

 だが、そこには骨や毛といった、羊の痕跡が何もなかった。


「骨も毛もないが、骨や毛ごと食べたってことか?」

「……きっと違うよ。熊も骨や毛皮、蹄とかは食べ残すものだから」

「そういうものか。さっきの(ふん)はどうだった?」

「木の実や野菜を食べた糞だったかな」


 ロゼッタは狩人なので糞を見て何を食べたか判断できるのだ。

 村の畑に出没して野菜を食べた時点で、羊を食べていなくともさっきの魔熊は討伐対象だ。

 そういう意味では無駄な討伐ではない。

 だが、羊を食べた獣が他にいる可能性が高くなった。これでは依頼完了とは言えない。


 調査を終えて、俺とロゼッタが巣穴を出る。

 アルティとティーナは魔熊を解体している最中だった。


 俺とロゼッタも解体を手伝いつつ、巣穴の調査結果を報告する。


 報告を聞いたティーナが力強く言う。

「羊を食べた魔獣を退治する必要があるわね!」

「そうだな。ロゼッタ。調査を継続しよう」

 アルティは無言でうんうんと頷きながら魔熊の解体を続けていた。


 魔熊の毛皮を剥ぎ取り、爪と牙を取り、肝と魔石を取り出すと解体は終わりだ。

 魔熊の肉はとてもまずいので食用には適さないのだ。


「魔熊の肉は使い道がないから、この場で処理しとかないとだね」

「俺が燃やそうか?」

「魔力がもったいないでしょ! 穴を掘るのも大変だし薪を使って燃やすのがいいかな」


 俺にとっては魔熊の肉を燃やすための火球に使う魔力量は大した消費量でもない。

 薪を集めるよりも楽なぐらいだ。だから、魔法で燃やそうとしたのだが、

「ぴぎっ」

「フルフルどうした?」

 俺の服の内側から、フルフルが飛び出してきた。

 そして一気に巨大化すると、魔熊の死骸を包み込む。


「フルフル、こんなに大きくなれたんだな。びっくりだよ」

 さすがは神獣と言ったところだろう。


「ぴぃぎ!」

 嬉しそうに鳴きながら、フルフルはあっという間に魔熊の死骸を消化していった。

 消化すると同時に水と土のようなものを排出していく。

 これはフルフルの便だろう。


 俺とロゼッタはフルフルの糞に顔を近づけて臭いなどを確認する。


「これは……土だな」

「そうだね、土だね、腐葉土みたいな感じ」

「フルフルは消化が尋常じゃなく速いんだな」

「ぴぎぴぎっ!」


 魔熊の死骸を消化しきると、フルフルは元の大きさに戻って、俺の肩に飛び乗った。


「さ、さすが、ウィルさまの従魔! 見事なスライムね」

「すごいっていうか、フルフルって何のスライムなの?」


 ティーナとロゼッタが驚いている。


「普通のスライムだと思うが……」

「いやいやいや、それはないよ。だって魔熊も一瞬ってことでしょう? 一体何者?」


 驚きすぎたせいか、ロゼッタは言葉を省略しすぎている。


 今のスピードで消化するなら、生きてる魔熊も一瞬で消化してしまうだろう。

 つまり、巨大な魔熊を一瞬で倒せるスライムっていったい何者なの?

 そうロゼッタは言いたいのだろう。


「実は俺も種族についてはあまり知らないんだ」

 神獣のスライムと言っても、ますます混乱するだけに違いない。


「そうなんだー。すごいスライムもいるものなんだね」

「ぴぎっ」

「死骸処理はフルフルちゃんにお任せだね! すごく楽になるよ!」

 ロゼッタは俺の肩の上にのるフルフルを撫でていた。



 死骸の処理を終えた俺たちはすぐに移動を開始する。


 魔熊の巣には熊が最後に目撃された場所からたどり着いた。

 次は羊が消えた場所へと向かう。


 羊に関する村人の証言はこうだ。


 腕のいい羊飼いが牧羊犬と一緒に、五十頭の羊を放牧していたらしい。

 そこに魔熊が現れた。当然羊飼いは逃げ出す。魔熊相手に戦うというのは無理な話だ。

 結果として十頭の羊が、村の財産から失われた。

 羊飼いを責めることは出来ない。

 牧羊犬と力を合わせて、四十頭の羊を逃がしただけでも、腕が良いと言えるだろう。


「ここが魔熊に羊たちが襲われた放牧地なの? 草が沢山生えているものなのね」

 王宮育ちのティーナは放牧地を見るのも初めてなのだろう。


「草が生えているのは、魔熊に襲われてから、ここで放牧できてないからだよ」


 ロゼッタが優しく説明する。

 羊は沢山草を食べる。だから草の状態をみながら放牧地を変えるのだ。


「草が生え放題だし、痕跡を追うのは大変だけど、がんばるね!」


 ロゼッタは真剣な表情で周囲を調べ始める。


「むむ? 魔熊の足跡を見つけたよ!」

 ロゼッタは狩猟神の加護を持っているだけあって、狩りの能力は非常に高いようだ。


「さっきの魔熊の足跡と考えていいか?」

「そうだね、そう考えていいと思う。足跡を追って行くよ」


 ロゼッタが足跡追跡を開始する。

 足跡の先には、先ほどの魔熊が羊を食べることが出来なかった事件の痕跡があるはずだ。

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