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『八歳から始まる神々の使徒の転生生活』
ついに一巻が発売です。
『ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた』コミックス二巻も同日発売です!セットでどうぞ!
レジーナは高さ三メートルはある大きな岩の上に腰かけていた。
巨大な大剣を肩に乗せている。
「ゼノビア。それに師匠。遅かったね!」
「レジーナが速すぎるんだと思うぞ」
「照れるよ、師匠!」
レジーナは剣を持っていない方の手で、頬をかく。
俺は周囲を改めて確認する。
大量の灰の山が三つあった。獣の眷族の死骸だろう。
レジーナが腰かけている岩は、恐らく眷族の魔法によって召喚されたものだ。
隕石召喚的な魔法が使われたに違いない。
周囲にはいくつもの大きな岩が転がっている。
いくつかの岩は剣で切断されていた。きれいな切断面がみえている。
その後、俺たちは、みんなで死骸の後処理をする。
ゼノビアとレジーナの傷も俺が回復魔法で癒しておく。
二人ともかすり傷だけで、大きな傷は負っていなかった。
それを終えてから、ルーベウムを呼ぶ。
すぐにルーベウムは地上へと降りてきた。
「ルーベウム。すごく助かったよ、ありがとう」
「きゅるきゅる」
俺が頭を撫でると、ルーベウムは気持ちよさそうに鳴く。
「それにしてもよく諜報部隊に気付いたね」
「きゅるー。上空を旋回しながら、地面を観察していたら気付いた」
ルーベウムが教えてくれた。
やはり、ルーベウムは隠ぺいの魔法を見破るのが得意らしい。
俺が魔人と戦い始めてすぐに気が付いたようだ。
だが、激しい戦いを繰り広げていたので、対処する余裕はないと静観した。
そして、俺が魔人を倒した後、隠れていた者たちが動き始めた。
逃がすわけにはいかないので、攻撃して位置を教えることにしたのだそうだ。
「口で説明してもわかりにくいとおもってー。きゅる」
「確かに。助かったよ」
時間のない時に、口で場所を説明するのは難しい。
しかも移動を始めているのだ。
そこから南南西に五十メートルの位置から南東の方向へ移動中。
そんな説明を五匹分しなければならないのだ。
説明を終えたころには状況は変わっているだろうし、恐らく逃げられる。
ルーベウムの話を聞いたゼノビアが、ルーベウムを撫でる。
「いい判断だったぞ、ルーベウム」
「きゅるー」
ルーベウムは嬉しそうに尻尾をゆっくりと揺らす。
レジーナもルーベウムの胴体をワシワシと力強く撫でながら言う。
「本当に助けられたよ。ルーベウムは本当に速かったね」
「ルーベウムが居なかったら、到着は相当遅れただろうな」
俺がそういうと、レジーナもうんうんと頷く。
「いまだにディオンは到着していないからねー」
俺はゼノビアにディオンがドゥラに乗っていることなどを説明する。
ゼノビアの弟子でもあるアルティたちのことも報告しておく。
「そうでしたか。かなり厳しい戦いでしたから助かりました」
ゼノビアのルーベウムを撫でる手が一層優しくなった気がする。
ルーベウムをいたわっているようだ。
「そういや、ディオンはいまどのあたりにいるんだろ。師匠はどう思う?」
レジーナに尋ねられて俺も考える。
「……そうだな。ディオンの乗っているドゥラも相当速いからな」
「確かに師匠の言うとおりだね! そろそろついてもおかしくないと思うけど……」
とはいえ、ドゥラは無理して加速していた可能性もある。
途中でスタミナが尽きたのならば、遅れても全くおかしくはない。
「考えていてもしょうがないか。ディオンに聞いてみればいいね」
レジーナは通話の指輪を起動して呼びかけようとする。
呼びかける前に向こう側から声が聞こえて来た。
『聞こえてますか? 忙しいなら返事はしなくて構いません』
「ディオン、どうした? こっちはすんだ」
『そうですか。それは何より』
「今どこにいるんだ?」
『王都近くです。別動隊がいたので、その迎撃をしています』
「すぐに向かう」
『特に急がなくても構いません。私一人で何とかなりますから』
「……そうか」
『この連絡は、そちらの援護に向かえないという報告ですからね』
「わかったけど、とりあえずこちらも急いで向かおう」
俺たちはディオンとレジーナの会話を黙って聞いていた。
一対多の報告の場合は、一人に会話させた方がスムーズにいくことが多い。
『ならば俺も王都に直接向かおう』
「ミルトもそれで頼む」
ミルトは、通常の飛竜に乗っているので、到着にはまだまだ時間がかかる。
俺たちが王都につくよりもずっと後の到着になるだろう。
「ディオン、気をつけろ」
俺が言わなくてもディオンは気を付けるのだろうが、一応言う。
『はい。ありがとうございます』
ディオンがお礼を言って、通話が終わる。
俺は急いでルーベウムの背に乗る。
レジーナも当然と言った様子で俺の背に乗ってくる。
「レジーナより私が乗るべきだと思うが……」
「ゼノビアは疲れているだろ。それに議論している時間はないよ! 師匠急ごう」
「わかった。ルーベウム」
「きゅるー」
ルーベウムは一声鳴いて飛びあがる。
「私もすぐ向かいます!」
ゼノビアが叫んでいた。
「ああ、気をつけろよ!」
俺がそう叫びおわるかどうかという時に、ルーベウムは一気に加速を始めた。




