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ダメな巫女娘に悪魔の加護を。  作者: 琴吹 風遠
嗤う門には複来る
122/446

122.絵に入ろう

 うわーーー


 到着!


「……!!」

「あ、どうもベートーベンさん」

「わ、私はベートーベンではなく

 ベートーヴェンだ!」

「ピザとピッツァみたいな違いだな」


 目を開けたらここはすでに学校の音楽室

ではない。ここは装飾が西洋風の部屋で、

そこにはかの有名な作曲家である

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベンが

いる。


「だから私はベートーベンではなく

 ベートーヴェn」

「うるせぇ!!」


 発音にいちいち突っかかってくるなよ!

というか調べたことあるけど標準ドイツ語

だと「ベートホーフェン」が正式だろうが!


 とりあえずここに義堂を呼ばないと

話が始まらない。それと以外にも

すんなり、あの呪詛でここに来れる

もんなんだな。


 適当に壁を触る。何してんだこいつ

みたいな目でベートーヴェンが俺の

ことを見ているが気にしている暇はない。


(我、神前 滉樹の名によって命ず

 ”トラン”、応じよ)


(ども、トランですぅ)

(ゼウス、それでそっちの様子はどうだ?)

(あ、すごく嫌がってますがもうじき。

 それとゼウスって、なんで言ったんです)

(気にするな)


 やっぱり義堂のことだから嫌がるよな。


(あ、今ゲート開けます)


 壁に大きめの穴が開く。そこから投げ

出されるように義堂が出てきた。


「ってえ”! お”い!! 出てこいてめぇ!

 相手になってやるからよぉ”!!」

「向こうで何があったんだよ」


 悪魔に抵抗する義堂は前に見たことが

あるが、まさか悪夢にも抵抗するとはな。

どんだけ鋼の精神持ってんねん。


「お”い神前! 話がちげぇじゃねぇか!

 ありゃ一体……あぁ?」

「あれは前座だよ、前座。ここが本当の

 絵の中になる」

「ったく、またマヤに一本取られた

 かと思ったぜ」


 いやまぁ確かにマヤは睡眠薬を

俺たちに渡しただけだからな……

義堂の思う”本来の”効能と違うと

思えば、まゆつばものだと言っても

過言ではないけども……


「で、そこの天パじじいは誰だ」

「すげぇ失礼だな。あの人はこの絵に

 いた人、ベートーベンだ」

「いえ、だから私はベートーヴe」

「ほう、つーことはやっぱりここが

 さっきの絵の中っつーことか。それじゃ

 なんでミコの野郎はいねぇんだよ」

「ねぇ私の話聞いt」

「それは分からないけれど、失敗したのか

 あるいは別の絵に入っちゃったのか」

「私のはなs」


 ミコは霊感がないし薬がどうこう以前に

俺から霊的な干渉をできない。そのため

絵の中にミコがいるはずがない。ミコには

俺と義堂が頑張ってる間は寝ていて

もらおう。


「つーか、ここにその目的の野郎は

 いなそうだが」

「ならそこの天パに聞いてみるか」


 今更ながら、じっくりその髪型

見てみるとどこぞの「よろずや」の

店主そっくりだよな。


「なんだね私は偉大なるベートーv」

「わーったから! それでその偉大なる

 弁当さんに聞きたいんだけど」

「そんな弁当持ってくるパシリみたいな

 呼び方やめて!」

「じゃあ……


  ベントー!さんか?」

「アニメじゃねーか!」


 だってルードヴィヒうんたらかんたら

って何度も言うのめんどくせぇんだよ。

名前にしろ、その性格にしろ。


「いや、聞きたいことって言うのは

 ここに誰か来なかったかってだけだ」


「ここに誰か? ……あっ、いやっ!

 いやいやいやだーれも来てませんよー

 HAHAHAHAHAHAHAHAHA」

「「……」」


 なんだこの怪しいジェントル作曲家は。

いろいろとやりがいがあるぞ。いろいろと。


(なんか怪しいぞコイツ。つーかなんで

 んな質問したんだよ)

(あ、言ってなかったか。多分、この一件は

 悪魔とか霊が関係しているって踏んでる

 んだ。だから、もしかしなくてもここに

 その悪魔が来ているんじゃないかってね)


 ってミコが言っていた気がする。

と付け足した。


「なんか隠してるだろ」

「いいやー、わたーくしジェントルメーン

 ですから隠し事なんてーHAHAHAHA」

「どーせ、この様子じゃなんか隠してる

 だろ。だったら殴って」

「その脳筋思考やめろ」


 そろそろ力任せになんとかなる

ほど世の中は甘くないとでも

言ったほうがいいのか……それに

俺にも一つ手段がある。


「なぁ、ベートーベン」

「だから私はぁ!」


「*****************************」

「え、何それは……あっ……」


 俺はそう唱える。わかっていると

思うがこれは日本語でも英語でもない。

悪魔の言語で、呪詛の一つだ。


 ベートーベンがふと指をさす。

そう俺が指示したんだがな。


「そっちに誰かいると?」

「あぁ」

「おし、あんがとさん」


 パチン


 くそっ、指パッチンしくじった。


「…………はっ!!?」

「ベートーヴェン、俺たちはもう行く

 から俺たちがここに来たことは

 ”あいつら”に言うんじゃねぇぞ」

「あ、ちょっt」


 本当に最後の最後までいじられて

終わったなぁ、あの音楽界の偉人。

といっても絵の中の模造品程度に

過ぎないから、罵倒したところで

別にバチがあたるはずもないだろう。


「神前、ありゃなんだ?」

「ん? あぁ、あれは

 ”ここ以外の絵にいる敵の場所”は

 どこだと命じたんだよ」

「にしては俺にゃ、よくわからねぇ

 言葉にしか聞こえなかったが」

「そういうものだ。企業秘密で」


 ここはどうあがいても絵の中であり、

空想上の場所であり、義堂にとっては

「夢」の一部なのだ。それならば

はなからバケモノ扱いされている

俺がこうやって、悪魔的な部分をさらけ

出しても別にいいだろう。


(それじゃ”トラン”、ここで待ってろ。

 すぐにとは言わないが、ここに戻って

 来るからさ)

(了解ですぅ)

(バナナ食べます)

(うん、おいちい)

(知ってんのかよ)


 閑話休題


 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートヴェンが

指差したのはあるひとつの扉……ではない。

全身が映し出せるだけの大きさの鏡だ。


「あん野郎、鏡になにがあるってんだよ」

「そりゃ多分、鏡の中に入るんじゃない

 のか? ほら「the evil whthin」の

 鏡みたいな」

「なんだそりゃ?」

「気にしなくていいよ。まぁ、触れるなり

 しないt」


「ちょっと待て待て! 君たち!」

「あ、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートヴェン」

「めんどうだからやっぱり本名やめて」


 俺たちを追ってきたのだろうな。まったく

めんどくさいやつだなぁ……


「どうしたんだよ」

「私のことをどうしてこうも拒むの

 ですか! 私は偉大な「楽聖」の

 ベートヴェンだというのに」

「それが何か?」

「私という死した存在をこのような

 形で存在できるのは”あの方”

 あってのもので、それは私に

 とっても止めt」


「あんたいくつ?」

「え、34歳」

「ふーん、20歳で耳聞こえなく

 なったのに何で聞こえるんだ?

 佐村河内守かよ」


「えっ…………………えっ」


 読者はゴーストライター事件という

ニュースを覚えているのだろうか……

……いや、話が飛びすぎるからこれ以上は

この話はやめよう。


 ベートーベンは「えー」みたいな

顔を浮かべたまま突っ立っている。

そんな衝撃事実でもないだろうに。


「まぁいいや、うし義堂行くぞ」

「おうよ」


 鏡に手をかざす。これはもう完全に

さっき言った「the evil within」の影響

丸出しなのだが……あれ? 反応がない。


「なに手出して突っ立ってんだよ」

「いや、これで移動できるかなと」

「は? なに言ってんだてめぇ。

 「サイコブレ○ク」じゃあるめぇし」

「知ってるのかーい」


 ちなみに1も2もクリアしました。

(作者談)って話が飛びすぎだわ!

最近、小説の更新ペースが遅いのも

こうやっていろいろと話がぶっ飛ぶ

からなんだよな、畜生!


「じゃあ逆にどうやって鏡の中に

 行くんだよ……」

「あ”、んなこうするんだろうがッ!」


 ガッシャーン!!


 割れた鏡の奥には確かに道が

続いている。


「ほらよこれでどうだ」

「あってたけどなんか納得いかない」


 もっと幻想的に鏡の中に

入るとかの設定かと思ってただけ

あって、まさかこんな物理的に

「鏡の中に」入るなんて思いも

しなかった。


 それにここは俺の眷属の作った

絵を媒介にした”幻想”の世界だろ?

こんな忍者のかけじくみたいな

隠し方するなよ。


「おら、ミコがいねぇんだしどっか

 別のところにいるんだろ。とっとと

 探しださねぇと、またぐずりだすぞ」

「お、おうそうだな。それと義堂」

「あ”? んだよ」

「子ども扱いされたほうがアイツは

 悲しむと思う」


 ___________


「おねえちゃんオネエチャン。誰かあたし

 たちの世界に来たみたいだよ」


「大丈夫だよ、私たちは見つからないよ」


「おねえちゃんオネエチャン。でも

 あれってあたしたちのマスターだよ」


「あらら、そいつは大変だね」


「おねえちゃんオネエチャン。これから

 どうしようか」


「ビビ、大丈夫だよ。私たちはもうここが

 ”居場所”なんだ」


「おねえちゃんオネエチャン。でもマスター

 あたしたちを連れ戻すとか言ってるよ」


「だったら私たちで追い出そうよ。そう

 したら私たちはホントウに自由だ」


「そうしようそうしよう」


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