第3章第9話 奥義発動!封印されしこの技、とくと見よ!
<この剣技は、普段は使ってはいけない。自分の命の危険、またはそれに準ずる物の危険が迫った時のみ解放しなさい>
そう言っていた。
今はまさにその状況。
自分の命の危険もある。
さらにそれに準ずる者の危険もある。
ここでオレが朽ちたら次の標的は恐らく亮平。
次に戦えそうな奴だから先に潰すだろう。
そして千秋、湊の順だ。
正直、亮平なんてどうでもいいが千秋と湊は守らないと。
オレが倒せない敵を亮平が倒せるわけがない。
・・・仕方無い。
この際、みんなを守れれば・・・こいつを倒せればどうだって・・・。
オレは一心にガルツを見る。
「はあああああああああああああ!!!!」
掛け声とともにオレは剣を軽く横に振るった。
「ふふふ、その位置じゃ当たらないですよ」
ガルツが馬鹿にしたように言う。
「奥義・虎視眈眈」
オレは刀を鞘に戻す。
「千秋、勝ったぜ!」
「何を!?ワタシはまだこの様に生きている!」
ガルツが怒ったようにオレに殴りかかってきた。
「オレはいつでも貴様を殺せるんだよ」
その時、
ガルツの首が落ちた。
「決まったって・・・言ったろ?」
ガルツの返答は、勿論なかった。
「この刀は何も斬らない。奴を斬ったのはこの刀の刃ではなく、オレの命の欠片だ」
そう、これを使うなと言ったのは師匠が持っていた弟子のひとりにこの技の使いすぎで自らの命を落とした奴がいたそうだからだ。
これは手加減ができない。
だから、使いたくはなかったんだ・・・。
この技はオレの師匠が編み出した奥義だ。
以前オレは我流と言ったが、それはこの流派にはない突きを組み入れただけで差ほど大差はない。
「ところで亮平」
「あ?」
オレは殴った。
「てめ、ざけんな!」
「何故、助けなかった?」
「そりゃ、俺が狙われたら困るし・・・」
死ねよ。
黙って死ねよ。
「次敵出てきたら亮平囮にして先進もうぜ!」
「うん!」
湊がニコニコしながらうなずいた。
「ちょ、おい!湊ちゃん!?そんなに俺を殺したいの!?」
「ううん、どのくらい強いのか見たい」
この言葉を聞いた瞬間、亮平の目つきが変わった。
「やってやろうじゃねぇか!だが、湊ちゃんにはひとつ約束してほしいな」
湊は「なあに?」と言ってみる。
「俺が次の敵を潰したら、俺と付き合ってくれ!」
わお、まさかの告白ですか。
「良いですわね、このような恋も」
「まあ、オレたちは愛だけどな」
それもそれでよし。
そしてそこでちょっと赤くなる千秋かわいー!
今ここで抱きしめたい。
まあ、湊も湊でかわいげはあるけどな。
そして湊の返答は・・・
「なんで?」
えぇ!?
そこで「なんで?」はないでしょう!?
「そ、それは・・・」
言葉が詰まる亮平。
不思議そうに見る湊。
笑いにならない笑いをしているオレ。
穏やかな顔で見守る千秋。
「そ、それは俺が湊ちゃんに惚れたからに決まってんだろ!」
こいつ、漢だ・・・。
堂々と、大声でこのセリフを言うのはオレには無理だ。
6月30日午前9時
「それはそうと、これからどうする?」
「全員抹殺に決まってんだろ」
いや、それはダメだろ。
「はやてさんは現在魔力回復中ですからね・・・」
魔力吸収弾ってのは相当威力が高いらしいな。
「まあ、普通に乗り込むか・・・」
「見つかっても殺しゃいい話だ」
だから、それはダメだって!
「仕方がありませんね、普通に乗り込みましょう。やむを得ない場合は・・・亮平、殺しても構いませんよ。ただ、それに責任を感じないのであれば」
千秋は少し厳しい言い方をしたが、亮平はもろともせずに
「俺は既に何百という人を殺しているからな、今更責任なんて感じねぇよ」
こいつ既に殺人鬼じゃん!?
「亮平、お前がもしガルツみたいな奴と戦うことになったらどうする?」
「勿論、そいつの心臓を射抜く・・・零距離でな」
良い意気込みだな。
オレは疲れたよ・・・。
よし、次はこいつに任せよう!




