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片瀬の日々  作者: STORM
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第3章第1話 まさかの「ここはどこ?私は誰?」

6月16日午後2時



オレは浜辺に打ち上げられていた。

「・・・どこだ・・・ここ」

浜辺だが、海の家はない。

それどころか、浜辺沿いの道も整っていない。

どうやら、海水浴場ではないようだ。

雰囲気的に日本ではある。


「だ、誰?」

オレの背後から声が聞こえた。

地元の中学生の女の子かな?

「ああ、オレは・・・」

あれ・・・オレの・・・オレの名前が出てこない・・・。

「・・・名前が・・・出てこない」

覚えていることは、オレが日本人だってこと程度。

「そう、記憶喪失かな?ボクは(みなと)だよ」

「ああ・・・悪いな、名前が出てこなくて」

湊は穏やかな顔で微笑んでオレの手を掴んだ。

「気にしなくていいよ」

「ありがとう。それで、ここはどこだ?」

「誰も来ない浜辺。漁師もいないし、人も住んでいない」

・・・なんで湊はここに・・・。

「あの・・・ちょっと手伝って」













手伝いとは、海藻や貝、魚をとることらしい。

何やら湊の家は酷く貧乏らしく、毎日を暮らすのが大変だそうだ。

今の時代、こんな家庭があったとは・・・。


オレはその辺に打ち上げられていた木の棒を拾って、それで魚を叩いて気を失わせ、捕獲。

これを延々と繰り返した。

オレの食料としての糧になるんだな。






そんなとき、パスポートが打ち上げられているのを見つけた。

そこに書かれていた名前を見て・・・。

「・・・これは・・・オレの名前だ・・・」

間違いない。

この顔は間違いなくオレだ。

水面に映ったオレの顔と写真に写った顔が一致する。

パスポートでオレの誕生日などの基本情報は分かったが、両親や兄弟などの情報は一切分からなかった。

オレがどんな人間だったのかとか、そんなのは全く分からない。

趣味は何で、特技は何で、好きな食べ物は何で・・・そんな情報は手に入らない。

パスポートに必要な情報しか手にすることはできなかった。












「おーい、湊!」

「あ、魚取れた?」

オレは収獲を見せる。

「きみ凄いね、ボクじゃそんなにとれないよ」

「そりゃ、男と女の性差があるじゃないか。それに、オレの体は結構鍛えられていたし」

「そうだけど、君は凄いよ!」

まあ、確かに棒で気絶させて捕獲する方法はそうそうできないと思う。

ここで、気になった。

オレが名前で呼ばれないことが。


「湊、ちょっといいか?」

「なに?」

「オレさ、名前を思い出した」

そうして拾ったパスポートについた名前を見せた。

「・・・ごめん」

は?

何故、こいつが謝る?

「ボク、実は英語が読めないんだ。ボクは年齢的には既に中学3年生なんだけど、小学校にも少ししかいってないんだ。親がこんな辺境に住んでた上に、親はボクが小学校低学年の時に死んじゃったし。親戚はいるか分からないし・・・」

湊・・・お前・・・。

彼女がここまで生きてきたことは奇跡だと言ってもいい。

人生の半分近くを女の子が一人で、更に自給自足で生きていたことは不可能に近い。


オレは、湊がアルファベットに苦戦しているのを見て、パスポートを覗いた。

確かにパスポートには英語で書かれていたな。

海外で作ったのかな?

「じゃあ、オレが読むよ」









「オレの名は、片瀬駿だ」

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