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転生したら巨人でした。  作者: 新米オッさん兵士


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第17話 虚空の巨神 ~完全覚醒の刻~

天空の要塞「アルカディア」が最初の使徒を撃退してから十日が経った。

要塞は日々強化され、バルドガンとグラムの鋼鉄補強、シルヴァリアの森の結界、ヴォルガルドの炎の監視網が完璧に機能していた。

しかし、その平穏は脆くも崩れ去った。

夜明け前。

要塞全体が突然、激しく揺れた。

ドゴゴゴゴゴォォン!!

俺は寝床から飛び起き、巨大化しながら屋上へ駆け上がった。

リナを掌に乗せて守る。

「何だ……!?」

空が、紫色に染まっていた。

大陸の中央部――魔界の地下 deepest から、黒い光の柱が天を突き刺すように立ち上っている。

大地が割れ、紫の霧が噴き出し、遠くの山脈が崩れ落ちていくのが見えた。

ヴォルガルドが空から急降下し、翼を広げて叫んだ。

「来た……!

異星の巨神『虚空の巨神エクストラ・タイタン』が、完全に目覚めた!」

ガルヴァンとルカが神獣形態で屋上に飛び乗る。

ガルヴァンの声が震えていた。

「この気配……魔王の比ではない。

我らの血が、恐怖で凍りついている……」

シルヴァリアの体が淡く輝きながら、森の根を通じて情報を集める。

「大陸の中心が……崩壊しています。

地下から、何か途方もないものが這い上がってきます」

バルドガンが鋼の巨体で壁にしがみつき、歯を食いしばる。

「くそっ……要塞が揺れるぞ! このままでは崩れる!」

俺は剣を握りしめ、紫の光の柱を見つめた。

胸の奥が、冷たい恐怖で締め付けられる。

これまで感じたどんな敵とも違う。

ただの「巨大」ではない。

「異質」な、異星の存在感だった。

「みんな、要塞を死守しろ!

俺は偵察に行く!」

リナが俺の掌の中で必死に叫ぶ。

「ケンタ! 一人で行かないで! 危ないよ!」

「大丈夫だ。すぐ戻る」

俺は最大まで巨大化し、50メートル級の姿で要塞を飛び出した。

ヴォルガルドが横に並んで飛ぶ。

大陸の中心に向かうにつれ、空気が重く、紫の霧が濃くなっていく。

地面が波打ち、巨大な亀裂が走る。

そして――

そこにいた。

体長は優に120メートルを超える、圧倒的な巨体。

皮膚は宇宙の闇を切り取ったような黒紫色で、表面に無数の赤い核のような光点が浮かんでいる。

頭部はなく、胸の中心に巨大な「虚空の核」がゆっくりと回転している。

腕は四本あり、指先から紫の霧が絶え間なく噴き出している。

虚空の巨神――エクストラ・タイタン。

巨神はゆっくりと上体を起こし、虚空に向かって咆哮した。

「――――――!!」

その声は音ではなく、空間そのものを震わせる波動だった。

俺とヴォルガルドは衝撃で数十メートル吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

ヴォルガルドが血を吐きながら立ち上がる。

「ぐっ……! この力……我の炎など、通用せん……!

ケンタ、退け! 今はまだ勝てん!」

俺は歯を食いしばり、光の剣を構えた。

「退くわけにはいかない……!

あいつが完全に動き出せば、大陸が終わる!」

巨神の四本の腕が動き、紫の霧が大陸全土に広がり始めた。

霧に触れた森が枯れ、川が紫色に染まり、生き物が次々と「巨大化」し、狂ったように暴れ始める。

それは、異星の巨神がこの世界の生命を「実験材料」として改造し始めている証だった。

俺は光の剣に全力を注ぎ、最大の斬撃を放った。

金色の光の奔流が巨神の胸に向かって飛ぶ。

しかし――

巨神の虚空の核が一瞬輝き、俺の光を飲み込んでしまった。

光が消え、代わりに紫の反撃の波動が俺に向かって返ってくる。

「うわああっ!」

俺は直撃を食らい、地面に激突した。

体が痺れ、光の力が一時的に弱まる。

ヴォルガルドが俺を掴んで後退させる。

「ケンタ! 今は偵察だけで十分だ!

あれは……我々だけでは勝てん。

全同盟の力が必要だ!」

俺は歯を食いしばりながら頷いた。

「わかった……撤退する!」

二人は全力で要塞へと引き返した。

背後では、虚空の巨神がゆっくりと立ち上がり、

四本の腕を広げて大陸を「観察」するように見下ろしていた。

要塞に戻ると、仲間たちが不安げに待っていた。

リナが俺の胸に飛び込んでくる。

「ケンタ……! 無事でよかった……!」

俺は巨大化したまま、みんなに状況を伝えた。

「虚空の巨神が完全に目覚めた。

体長120メートル以上……俺の光すら飲み込む力を持ってる。

しかも、紫の霧で世界中の生き物を狂わせ、巨大化させて操り始めている。

このままじゃ、大陸全体が実験場にされる」

ガルヴァンが低く唸る。

「我らの血が……本能的に怯えている。

あれは、魔王などとは次元が違う」

シルヴァリアの声が震える。

「森が……枯れていくのが感じられます。

早く手を打たなければ……」

バルドガンが拳を握りしめる。

「要塞をさらに強化する。

だが、時間が必要じゃ」

ヴォルガルドが翼を広げて宣言した。

「我々覚醒同盟は、ここで決断しなければならない。

単独では勝てない。

全種族の総力戦だ。

そして……ケンタ、お前が鍵となる。

お前の『光』は、あの巨神の『虚空』を打ち破る唯一の可能性だ」

俺は深く息を吸い、仲間たち一人ひとりの顔を見た。

リナ、エルウィン、グラム、バルドガン、シルヴァリア、ガルヴァン、ルカ、ヴォルガルド……

「みんな……

俺はまだ未熟だ。

でも、みんながいる限り、諦めない。

これから、全力で準備する。

要塞を最終防衛拠点に強化し、

人間の国々にも協力を求め、

そして……俺自身がもっと強くなる。

虚空の巨神を、この世界から叩き落とす!」

その言葉に、六種族の仲間たちが一斉に頷いた。

ルカが拳を突き上げる。

「俺も全力で戦う!」

ガルヴァンが静かに、しかし力強く言う。

「神獣の誇りをかけて」

シルヴァリアの花が優しく咲く。

「森の命を、皆で守りましょう」

要塞の周囲で、紫の霧がゆっくりと広がり始めていた。

虚空の巨神の影は、まだ遠い。

しかし、その存在感はすでに大陸全体を覆い始めていた。

覚醒同盟の真の戦いが、

今、始まろうとしていた。

(続く)


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