なにはへほ
「そ、それでマルナ嬢を呼び出した理由は分かっておるな?」
「何の事でございましょうか?」
まぁ、ムキルが何かを言ったのは確かだけど、何の事を言ったのかは知らないわ。
わざとおねしょするように仕向けたことかしら?
それとも、恋のコの字も知らないムキルに顔を真っ赤にさせるような光景を見せたからかしら?
でも、それらは証言者がムキルしか居ないのだから、本当かなんて分からない。
だから、私は面白くなるようにすれば良いだけよ。
「マルナ嬢がムキルを恋の坩堝に落としたと言うのは本当か?」
「…………」
何よそれ!!!私が女性であるムキルを恋に落とした?!誰がそんなアホな事を言ったの!!まったくもう!!はぁ……冷静になるのよ私。ここは落ち着いてそんな事実は無いと伝えないと……これは決してフラグでは無いわ。
私はフラグを建てない事ではピカイチの才能を持つの。
そんな私がフラグなど建てる筈が無い!!
「それは嘘でございます。私は女性に恋慕を抱く事はありません」
「ほぉう……この国が同性同士の婚約を推奨してるのをバカにしたな」
「あっ……」
そう言えばこの星に男がいないのをすっかり考えから抜けていたわって!この国同性同士の婚約を推奨してるの!?!?だからか、牢屋内でこちらが甘ったるくなる程のイチャイチャを見せつけていたのか!!きっと、ああする事で刑期を短くしようとか考えていたんでしょう!!?そんな事は考えて無いと思うかも知れませんが、この国、いいえ!!この星なら絶対にそうな考えに行き着く筈よ!!男と男のイチャイチャは素晴らしいわ!!だって、屈強な男が小悪魔系の男の子に虐めぬかれる姿なんて、はぁ♥はぁ♥はぁ♥……はっ!ともかく!男同士なら良いけど、女性同士だけは嫌よ!!!くっ!このままここにいたら私も同性愛に目覚めさせられてしまうかも知れない。力ずくでもここから脱出してみせる!!!
「マルナ嬢も同性愛に「とうっ!!」っ!?」
私の真なる必殺技!!
「オォオオオーーバァアアアアーーーテレポーダッシュ!!」
この必殺技は転移したかと思う速度を限界を超えて速くする必殺技!!一歩っでも地面を蹴ると私は遥か彼方まで吹っ飛ばされる!!これで私はイケメンを求めてさらなる旅に出てやるぞ!!!!!!!!
「おりゃあアアァアアァーーーー!!」
ドゴオォオオオオオオオオーーー!!!
「へにゃ……」
私の野望は潰えたかも知れません、わ―――