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第143話 ラザロファミリーからアルバトロスへ

 ヌルヌルを気軽に使えなくなるのは痛い。


 だが、みんなの言っていることも理解できなくはないので、どうにか自分を納得させることにした。


 実際、NPCであるミレイアからも不評だった。


 得られるメリットは凄まじい。だが、使った後の評判はどうなるのかと聞かれれば、マイナスになることはあっても、プラスになることなんてない。


「よかったぁ。ヌルヌルに異常な熱を感じたから、変態さんだったら禁止を受け入れないかと思って心配したんだよねぇ」


「いや、ヌルヌル自体を好んで使っていたんじゃなくて、最強の状態異常で便利な移動手段だから使ってたんだ」


 そもそも移動手段については、バルを使った新しい方法ができた。


 今後は、その用途でヌルヌルを使うこともないだろう。


 元から街中や外で、どこでも気軽に使える移動手段というわけでもなかったし、それなら別にいい。


「ほんとかなぁ? ……まあ、禁止を受け入れてくれるなら、どっちでもいいけどぉ」


「俺に変な性癖があるかのような雰囲気で終わらせるな! お前だって、モンスターの捕まえ方とか変態だったじゃねぇか!」


「はぁ!? 何言ってるの!? 私のは愛だよ! ねっ、リー君?」


 れいにゃはそう言うと、草色の毛並みをした狐のリー君に抱きついた。


 リー君も、今は嫌がる素振りを見せない。


 それどころか、れいにゃの顔へ自分の顔を擦りつけている。


「ほらぁ! リー君も嫌がってないし、君のヌルヌルとは違うよぉ」


 ……あの仲間にした現場を見た俺からすると、洗脳ではないかと思ってしまう。


 ただ、それを見ていない他のプレイヤーもいるこの場で指摘したところで、俺の方が負けるだけだろう。


「わかった、わかった。お前のは愛だ。もうそれでいい」


 れいにゃは少し納得していないような顔をした。


 だが、このやり取りを続けるのも嫌だったのか、それ以上は突っ込んでこなかった。


「今日はもう落ちようと思ってますけど、クラン名の変更はどうなりました?」


「あっ。変更方法をラザロに聞くのを忘れてた。後で聞いて変更しておくわ」


 落ち込んでいたグレイヴや、他のプレイヤーの戦いが気になって後回しにした結果、完全に忘れていた。


「じゃあ、クラン名を変えた後、クラン名の表示はどうします? プレイヤー名と一緒にクラン名を表示できますが、今まではラザロファミリーだったので表示していませんでしたけど」


「せっかくだし、表示でいいんじゃないか? 他のプレイヤーでクラン名を表示しているやつは見たことないけど、単純にまだクランを結成しているところが少ないだけだろうし」


「私もそれには賛成ー。今後クランが増えてきたら、勧誘とかされそうだしぃ」


「そうだね。ラザロファミリーのままだったら嫌だけど、名前を変えた後ならいいと思う」


 全員、表示することには賛成らしい。


「それなら、クラン名は表示する方向で。名前を変えたらメッセージを送っておくから、そのタイミングで表示に変更してくれ」


 そうして、プレイヤーたちは解散した。


 全員がログアウトした後、俺は一人でラザロを探した。


 ラザロは拠点の中にいたので、すぐに見つかった。


「ラザロ、クラン名ってどうやって変えるんだ?」


 俺が尋ねると、ラザロは一度目を閉じた。


 少しの間が空く。


 それから、静かに口を開いた。


「最初にボスへ渡したバッジから変更できます。ただ、一度変更すると一か月は変更できませんので、間違えないようにお願いしますね」


 それだけ言うと、ラザロは拠点の外へ出ていった。


 クラン名を変更することには納得したのかと思っていたが、ラザロ自身はまだ完全には納得しきれていないのかもしれない。


 まあ、変更するんだけど。


 俺は最初にラザロから渡されたバッジを取り出した。


 操作すると、クラン名を変更するための入力欄が表示される。


 一度変更すれば一か月は変えられない。


 念のため、誤字がないか何度も確認しながら入力する。


『アルバトロス』


 よし。


 間違っていない。


 そのまま決定を押した。


 これで、このクランの名前はアルバトロスだ。


 続けて、クラン名の表示設定も表示するように変更する。


 他のメンバーにも、変更が終わったことをメッセージで送信した。


 これで今日やることは終わりだ。


 俺もそのままログアウトした。


 次の日。


 いつものようにログインすると、目の前にラザロの手下の一人が立っていた。


 今までのように外で商人を追い回すことがなくなったから、拠点にいるようになったのだろうか。


 そんなことを考えていると、そいつは俺に向かって口を開いた。


「解封教団の次の会合の日と場所が決まりましたので、お伝えします」


 お前……。


 教団の人間だったのか!?


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