第一話 ~この学校不思議すぎ~
空が綺麗な水色を描いていたある日のこと。
「次。小林峻~」
「はい!」
朝っぱらから先生と生徒の声が聞こえてくる。何人かの生徒はニヤニヤしながら友達が名前を呼ばれているのを見ていて、他の何人かは口を閉じ、静かに緊張していた。
(はぁ~・・・次俺か~・・・)と心の中で呟いたとたん、
「よし、んじゃ――」
「桜木・・・ん?うたな?え~っと――」
「桜木歌奈ですぜ~先生~」
そう、俺の名前は桜木歌奈。決してうたなではなく、歌奈だからね。
「歌奈と読むのか。よし、桜木 歌奈~」またかよ・・・と思いつつも、
「はい!」っと力強く返事をし、初めての高校生活が始まった。
入学式は早めに終わり、クラスに別れて今に至る。新しい担任が名簿表を持ち、上から順番に読み上げていく。が、外をボーっと眺めていたせいかもしれないが・・・既に名簿表は教卓の上に置かれていた。
「え~今日からお前達の担任を任されることになった、初音はるかだ。一年間に限り、仲良くしてくれ」
「「・・・・え?」」
教室にいる生徒の誰もが顔を見合わせ、体からもう一人の自分のような薄い魂のようなものが出始めた。なぜそんなことが起きたのかと言うと、容姿だ。
初音はるか先生(?)の見た目は限りなくマッチョである。そんな人が歌をよく歌っている「ニコニコしています動画」でよくでてくる青髪のキャラクターを想像させてしまうような可愛い名前・・・
そんな夢が壊れてしまうような事件があったため、このような事態におちいった。
だが、先生は笑顔で言っていたがすぐに顔を少し引き締めた。
「まぁ冗談を置いといて・・・「「冗談かよ!!」」ってん?何だお前ら。そのちょっと安心したようながっかりしたような顔は・・・」
生徒の一人一人に魂が戻ってきたみたいだ。よし、この朝の会的なのが終わったら一人ずつにおかえりって言った方が良さそうだな。
と、頭の中で考えていたら先生はまた話し始め、
「俺の名前はさっきも言ったとおり、初音はるかだ。そして一年間だけじゃなく!何十年でも仲良くしてくれて構わないぞ~」
先生が笑顔でそう言ったとたん、生徒達は自分にしか見えない誰か(?)とリモコンの機能のすごさについてひたすら語っていた。
(みんな、逝ってらっしゃい・・・)
初音先生の自己紹介も終わり、今度は生徒達の自己紹介をすることになった。
俺らのクラスの人数は45人。その大人数で自己紹介・・・いったいどれだけ時間がかかるんだか。
「んじゃ~だいたい一人、1~2分で自己紹介をしてくれ。そうだな・・・名前と趣味、好きな食べ物と、あとは初音先生のどこが好きなのかだな」
一つ余計なことがあったから講義しようとしたが、既に先生は一人目を前に出していた。
俺はじっくりとみんなの言葉を耳に叩き込んでいった。なぜなら、初音先生のどこが好きかなんて俺の中には存在しないからだ。
一人一人順調に自己紹介が進んでいき、ついに俺の番になった。
「桜木 歌奈。趣味は本読んだりギターを弾いたりすることです。好きな食べ物はスパッゲッティーや麺類です。・・・えっと・・・」
「ん?どおした?恥ずかしがらなくて良いんだぞ?遠慮なく打ち明けな」
「んと・・・」
あなたのどこが好きかと言えば!もちろん!人のことをまったく考えないところですよね☆
ぁぁあだめだああああ!!そんなこと絶対いえねえええ!!
(あ・・・そうか!)俺は名案を思いつき、そして実行することにした。
(もうこれしかねえんだああ!!)力を振り絞り・・・そして、
「もちろん先生の(無駄に)鍛え抜かれた上腕二等筋です☆」
(よっしゃあああ!言えたぜ!!)
俺は心のそこから誇らしげな気分になった。ふ、これで先生も・・・!
「誰が無駄に鍛えているかああ!!!」
激怒された。しかも猛烈に。てか何でこの人俺のさりげない心読めるんだよ。
「いいだろう。初めに言っておく。この学校のことはもちろん知ってて入っているよな?」
もちろん分かってる。この学校はそんじょそこらの学校なんかとは比較にならないってことぐらい。
「俺らの学校は・・・四季を操れる学校・・・らしいっすね」
「そうだ。私達のこの高校は四季を操れる。私のクラスは春・・・その技の一つをお前にも見せてやろう」
なんだろう、このどっかのボスみたいな台詞。
「『春浄魔法』」
初音先生が謎の呪文のようなものを唱えたと同時に、何かピンク色の何かがたくさん出てきている。
(あれは・・・桜・・・?)そう考えている間にも桜は数を無数に増やしていく。てか俺はなぜ無駄と心の中で思っただけなのにここまで危険な状況に追い込まれなきゃいけないんだ。
わけがわからんと考えていると、先生は出した桜を宙に舞わせた。そして手を前に突き出し、こう叫んだ。
「『風春波!!』」
「おわっ・・・!?」
その直後、俺の目の前に無数の桜が押し寄せてきた。体は加速するかのように後ろへと飛ばされる。
「ちょ・・・桜木君!危ない!」
そう。俺の後ろには壁があるため、激突したら軽い怪我ではすまない。
だが、無数の桜はそんなことに構いもせず俺を飛ばしてゆく。
(俺・・・こんな死に方すんのか・・・。地味な死に方の上に自業自得で死ぬのかよ・・・俺はここで強くなるって決めたのに・・・)
あと数センチと言う距離で、俺は心の中でこう叫んだ。
(俺は・・・こんな意味もわからず死ぬわけにはいかねえんだあああ!!!)
ものすごい爆発音がした。どれだけでかいか分からないが、大きな爆発音だ。
(俺・・・死んだな・・・。はぁ・・・まだ何にもしてないのにさ。俺の人生はここから始めなきゃいけな・・・って、ん!?)
「桜木君!桜木君んん!!」「桜木さん!大丈夫ですか!?怪我はないですか!?」
周りからは心配の言葉が飛んでくる。煙で前が見えないため誰が言っているのか分からない。
「あ・・・桜木!!!大丈夫か!?悪かった!流石にやりすぎた!!」
あたかも何かに捕らわれてたかのように我に返った声が聞こえた。
だが俺は返事をしなかった。いや、できなかった。
俺の体に・・・ピンク色の桜のようなものと黒の桜のようなものが、俺の体を守るように包み込んでいた。
そのことに驚き、俺は返事どころではなかった。
「歌奈あああああああ!!」
俺はその声に聞き覚えがあったため、びくんとしてしまった。そして煙も晴れて行き、それと同時に桜も透明になって行く。
さっき俺の名前を呼んだ人は・・・
「歌奈!!大丈夫か!?廊下まで音が・・・って・・・!?」
「お、凍夜(とうや)じゃねーか!いや~俺も死んだかと・・・ってなんだ?どした?」
俺の体を見て物凄く驚いている。あ~この桜のことかな?
凍夜は俺から距離を置き、こう言った。
「その桜・・・お前!先生でも難しいその【Seasons unison】を何でお前が使えてるんだ・・・!?」
「・・・え?」
俺は混乱していたせいか、拍子抜けな声を出していたのであった。




